第8章 教えて
「何してんだ?」
「えっと、お財布忘れちゃって…
か、影山くんはどうしたの?」
「タオル忘れた」
「そ、そうなんだ、!」
影山くんと放課後に2人きりで話せるなんて今日はなんていい日だろう。
自分でも自分がチョロいことがよくわかった。
「……」
「……」
なにか話すべきなのか。
話したい気は山々だが、今日も帰りを急いでいるかもしれない。
1人で悶々しながら、お互いに新しい自分の席で忘れ物を探した。
…あれ?机の中をどんなに探しても、
「「お財布がない…/タオルがねぇ…」」
「「え?/は?」」
2人して探し物が難航していた。
「影山くんも見つからない、の?」
「さんもねぇのか?」
「うん、どこにも……あっ!!」
私の目線の先には前回の影山くんの席の下にタオルのようなものが落ちていた。
「影山くん!タオル!落ちてるよ!!!」
「うおっ!!!」
タオルの元へ駆け寄って見てみると、
きっと誰にも気付かれずに踏まれてしまったのだろう
泥だらけになったタオルが落ちていた。
「「……」」
2人ともこう思っただろう。
汚い、と。
「こ、これで汗拭いたら、、」
「…泥だらけになるだろーな」
「「……」」
本日何度目の沈黙だろうか。
ただ、気まずいのではなく
あまりの汚さにお互いに言葉を失ってしまったのだった。