第8章 教えて
席を移動し、帰りの支度が出来た頃。
「、一緒に帰ろー!」
仁花が教室まで迎えに来てくれたので、連絡先は諦めて帰ることにした。
仁花と廊下を歩きながら、今日あった事を話した。
「そっか、席も離れちゃったし、連絡先も聞けなかったのかぁ。」
グサッ
言葉に直すと余計心に刺さる。
脳内にいる全身打撲した私の化身に、仁花の言葉は追い打ちをかけた。
「そ、そうなのぉーー」
半泣きになりながら私は答えた。
「き、今日はドーナツでも買って一緒に食べようっ!ねっ?!」
今にも涙が溢れそうな私を仁花は一生懸命慰めてくれていた。
下駄箱に着いた頃、私はあることに気が付いた。
「…あっ、お財布教室に忘れちゃった!!
ごめん、取ってくるから待っててー!!!!」
「え、一緒に行かなくて大丈夫ー??!」
「大丈夫ー!!」
仁花に迷惑をかけまいと、1人で階段を駆け上がった。
教室に着き、今までの自分の席の机の上には、身に覚えのないペンケースが置いてあった。
(そうだ、席替えしたんだった、)
また少し悲しい気持ちになりながら、教卓の前の自分の席へ移動した。
「えっとー、あれー?どこだー?」
独り言を呟きながら机の中を探した。
すると
「さん、か?」
1日に1回は聞いていた声がした。
一言聞くだけで幸せな気分になれるあの声だ。
「か、影山くん、!」
後ろの扉に、彼が立っていた。