第23章 私は
「か、影山くん!」
若干相手を威圧しながら声をかけてくれたのは、影山くんだった。
そんな影山くんを見て、相手校の部員さんは『ヒッ』なんて情けない声を出している。
「椅子持ってくれるって言ってくれてて…」
そう言うと、影山くんはジッと部員さんを見つめ、
「……ありがとうございます。代わります。」
そう言って部員さんから椅子を受け取ろうと、手を伸ばした。
部員さんはタジタジとしながら椅子を渡し、そそくさと戻って行った。
「影山くん、椅子、ありがとう」
「……おう」
影山くんはぶっきらぼうに答えた。
なんだか、いつもよりも口をとがらせ気難しそうにしているようにも見える。
「疲れてるのにごめんね」
「疲れてねぇ」
「う、うそだ!だって試合、凄かったもん!」
「…そうかよ」
「うん!!ボールがビュンって飛んで行ったと思ったらバンって手にあたってダンって音がして!!すっごく早いのにちゃんとその先にスパイカーがいるんだもん!!影山くん、すっごいよ!!」
「………………ぁざす」
興奮気味に語ると、影山くんは照れくさそうに答える。
「なんだか見ててドキドキしちゃったよ!」
そう言うと、影山くんはこちらを見てふっと笑った。
影山くんの不意の笑顔に、違う意味で心がドキドキと鳴る。
落ち着きのない心臓を落ち着かせるため、「は、はは、ちょっと興奮しすぎちゃった……」なんて言って私は前を向いた。