第22章 気持ち
その日は練習試合。
体育館に入るなり、清水さんは
「扇西高校、到着は4時半だそうです」
と一報を入れた。
仁花にはパイプ椅子を並べる、私にはドリンクを作る指示を出してくれた。
言われた通り、私は体育館の端でドリンクを作っていると影山くんが隣に立った。
「今日はボール1つしか使わねーからな。
よく見て避けろよ。」
「うん!ありがとう!」
横に並ぶ影山くんにドキドキしながらもそう答えると、影山くんは作りかけのドリンクを1つ手に取った。
「あ、私やるよ!」
「そんなにたくさん試合までに作れんのかよ」
そう言って自分の分だけでもやる、とひとつ持った。
「あ、そ、そうだよね、ごめんね」
試合前なのに申し訳ない、とのろまな自分を責めながらドリンクを作ろうとすると、菅原さんがやってきて言った。
「おい影山〜!
さんが心配ならちゃんとそう言えって〜!!」
その言葉に影山くんはビクッと身体を震わせる。
「『一人でやると大変だと思うから手伝うよ』って、どうして素直に言えないかな〜」
呆れる菅原さんの言葉に、
影山くんは改めてギクリと身体を震わせた。
「ち、違います!!」
声を荒らげてそう言う影山くんは、顔を赤くしながら自分のドリンクだけ持って違う場所へ移動してしまった。
「え、え?」
「ごめんな〜、あいつああ見えて心配してるんだよ。
手伝おうと思ったんじゃねえかな〜」
「えっ」
その言葉に心がトクンと鳴る。
「あ、ありがとうございます、」
「いやいや、お礼は俺じゃなくて影山に、なっ!」
そう言って作りかけのドリンクをひとつ持ってくれた。
「あ、や、やります!」
「俺今手空いてるし、ちょっとだけ手伝うべ!」
「え!あ、ありがとうございます…!」
最初から最後まで菅原さんの優しさに負け、
少しだけ手伝ってもらった。
「さんは影山と仲良いんだなー」
「はい!同じクラスなんです!」
「おー!影山、クラスでうまくやってるかー?」
「最近、クラスメイトが影山くんのこと温かい目で見てます!」
「あ、温かい目……?」
菅原さんを困惑させた頃、相手校が到着していた。
「集合ーッ!」という澤村さんの言葉に部員が集合していく。
菅原さんに「俺達も集合するべ!」と言われた私は、慌てて菅原さんの後を追った。