第21章 マネージャー
そして放課後。
今、私は暴力を受けている。
そう、これは。
「………美の暴力……」
思わず私はそう呟いた。
時折髪を耳にかけながら私の前で話しているのは3年生の清水さん。
数分前私は、バレー部の怖い先輩ではなく
バレー部の美しい先輩に声をかけられたのだ。
数分前。
日向くんに「HR終わったら教室の前で待っててだって!」と言われた私は、帰り支度を済ませて教室の前で待っていた。
クラスメイトの話を鵜呑みにし、強面の先輩が来ると思っている私は手に汗をかいている。
「さん…だよね?」
その声に顔を上げると、とても綺麗な先輩が困ったように眉を下げていた。
「待たせちゃってごめんね。」
「ハイっ!いいえっっ!!!」
思わずそう答えた私に先輩は「はい、いいえ…?」と呟く。
「私、3年の清水潔子です。今日はありがとう。」
「い、いえっっ!
わわわ私、1年のと申します!!」
そう答えると清水さんはふふっと笑った。
まるでお手本のように綺麗に笑う清水さんの笑顔に、見蕩れてしまう。
それから清水さんは、「今日話したかったことなんだけど…」と本題に入った。
「〜〜〜しててね、〜〜〜〜だけど……」
美しさのあまり見蕩れている私に清水さんの話は全く入ってこない。
「よかったら見学だけでもどうかな」
「は、はいっ!!!」
突然返答を求められ、慌てて返事をしてしまった。
「ほんと!嬉しい!!ありがとう!」
そう言って清水さんは私の手を握る。
「急なんだけど、今日他にも1人見学の子がいるから一緒にどうかな?」
「へっ」
私は一生懸命記憶を辿った。
清水さんはなんの話をしていたっけ……?!
『今バレー部のマネージャーを募集しててね、
さんにやってもらえないかなって思って話をしに来たんだけど……』
『よかったら見学だけでもどうかな』
その言葉を思い出して私はハッとした。
私は今マネージャー勧誘を受けていたんだ。
そして今、見学することを承諾した。
話を聞かずに返事をしてしまったことを正直に話そうと清水さんの顔を見た。
キラキラと目を輝かせて清水さんはこちらを見ていた。
もう、なんと言うか。
………眩しい。
そんな美しすぎる顔に圧倒された私は、
「行きます。」
そう答えていた。