第20章 これから
「マジ?」
「あぁ。さっき廊下ですれ違った。」
「くっそー、部活サボろうとしてんのバレた!
ちゃん、またね!影山サンキュー!」
「えっ、あ、はい!」
驚きながらも慌てて返事をすると、チャラ男くんは走って去っていった。
チャラ男くんが去り静かになった教室の中、私の心臓は1人うるさく鳴っていた。
今までに何度か影山くんと2人きりになることはあったが、未だに慣れない。
チラリと影山くんに視線をやると、影山くんは口をとんがらせてチャラ男くんが去っていったドアを眺めていた。
影山くんはきっと探し人を見つけたから声をかけただけなのだろう。
天然な影山くんのことだし、私が連絡先を教えることを渋っていたことにも気が付いていなかったようにも思える。
それでもまた影山くんに助けられた。
「影山くん」
私の呼び掛けに影山くんは「?」と目線をこちらに送る。
「ありがとう」
そう言って私は眉を下げて笑った。
そんな私を見て影山くんは目を少し見開いた後
下を向いて黙り込んでしまった。
「…か、影山くん?」
私のお礼に対して影山くんは「?…おう?」とか答えるんだろうなと考えていた私は、予想外の行動に驚いてつい影山くんの顔を覗き込もうとした。
すると、影山くんはバッと顔を上げて少し声を荒らげて言った。
「も嫌ならちゃんと言えよ!!」
そう言う影山くんの顔はゆでダコみたいに赤かった。
キョトンとしていると影山くんは続けた。
「なんか困ってたじゃねェか!」
「へっ?!」
顔を赤らめながらそう怒る影山くん。
たしかに困ってた。
チャラ男さんと連絡先交換したくないなって思ってた。
……もしかして、
「全部気づいてくれてたの…?」
「………っ」
肯定するかのように顔を赤らめて黙り込む影山くん。
ただ探し人を見かけたから声をかけただけかと思っていた。
でもそうじゃなかった。
影山くんは、私が困っていることに気がついて助けに来てくれていたんだ。
本当にここ最近何度も影山くんに助けられている。
「ありが…「これから」」
改めてお礼を言おうと口を開いた時、影山くんの言葉が重なった。
「なんかあったら俺に言えよ。」
影山くんは命令口調でそう言った。