第20章 これから
声がした方を一斉に見ると、先程まで突っ伏していた影山くんが立ち上がってこちらを見ていた。
「何勝手なこと言ってんだよ」
そういう影山くんはいつもよりも眉間に皺がよっている。
「さん」
「は、はい」
「なんの話してんだよ」
影山くんは少し怒ったような顔で質問を投げかけた。
「えっ、」
「だからそいつと何の話をしてたんだよ」
「サッカー部のマネージャーをやらないかって誘われて…」
私がそう答えると周りは口を揃えて言い出した。
『なんだ~』
『マネージャーの話ねぇ』
『よかった~』
安堵の声か、はたまた興醒めの声か。
色々な感情を含む声があちこちから聞こえてきた。
そんな声に背を向けて影山くんはこちらを見た。
「お前、どういうつもりだよ」
影山くんはチャラ男くんに向かって少し怒っていた。
それに対してチャラ男くんは、はて?とでも言わん顔をして言う。
「何が?」
「もっと早くに否定してればこんなことにならなかっただろ」
「ごめんごめん、つい〜」
そう言って笑うチャラ男くんへ舌打ちをすると、影山くんはクラスメイトの方を見て言った。
「お前らも勝手なこと言って盛り上がってんじゃねえよ」
クラスメイトからはヒッと声がする。
ほとんどの人の顔が青ざめているのがわかる。
すると影山くんがポツリと言った。
「……さんが困ってんだろーが」
そう呟いた時、教室は本日二度目の沈黙を迎えた。
数秒後、クラスメイトは声を合わせて叫んだ。
『『『ええええええええええ!!!!!!!』』』
『なになになになに、なんて言った!?!?』
『お前、そういう優しさあったのかよ!!!』
『え、ちょっと、かっこよすぎない!?』
歓喜と驚愕の声で溢れた教室は、暫く落ち着くことは無かった。
その頃私は、リンゴのように顔を赤く染め、口を開けて硬直していた。