第18章 青葉城西
「ひゃっ!なんて可愛い声出すね〜」
「及川さん!!バカにしないでください!」
そんな意地悪なことを言う声の主は、及川さんだった。
「バカになんてしてないよ〜!可愛いなーって思って!」
頬をふくらませる私見て、ケラケラと笑っていた。
「なんでこんなところにいるんですか?」
ウォーミングアップはしないのかな?そう思って問うと、
「アップ前にトイレしに来て、戻ろうと思ったら可愛い子が立ちんぼさんしてたから声掛けちゃった〜!」
語尾に星が付きそうな口調で話す及川さんに、お世辞が上手いな、なんて呑気なことを思いながら苦笑いしていると、及川さんは少し困った顔をして言った。
「ところでさ、携帯無くしちゃったんだけどちゃん見てない?」
「えええ!!探すの手伝います!!」
「ありがとう!俺の携帯鳴らしてみて!」
これ俺の番号、と言われた番号に電話をかけると、すぐ近くからブブブッと音がした。
「ありゃ!ポケットに入ってたよー!ゴメンゴメン!」
そう言って笑う及川さんに、意外とお茶目な人なんだなぁなんて、笑っていると「そういえば」と及川さんは話を変えた。
「なんでこんなところにって、こっちのセリフだよ?ちゃん」
その言葉にギクリとすると、及川さんは続けた。
「青城の応援かなって思ったら、さっき俺から逃げたでしょ?」
爽やかな笑顔で言う及川さんの目の奥は笑っていなかった。
「まさかとは思うけど、烏野の応援だなんて言わないよね?」
「あ、いや…その…、」
顔を青ざめて言葉を探していると、及川さんはやれやれと言わんばかりの顔で口を開いた。
「………まぁいっか。一応自分の高校だしね。」
そう言ってふっと笑う及川さんに胸を撫で下ろすと、及川さんは目を静かに光らせて言った。
「わざわざ応援にきたちゃんの高校を負かすのは心痛いけど、その分今日は及川さんのカッコイー姿目に焼き付けておきな」
「えっ」
そういうと及川さんは、ウォーミングアップへと行ってしまった。