第18章 青葉城西
少しの沈黙の後、日向くんは顔を真っ赤にして言った。
「おおおおおおれ!がんばひますっ!!」
突然大きな声を出した日向くんにビクッと肩を揺らすと、我に返った影山くんは少し怒って言った。
「日向ボケ!!さんびっくりしてただろうが!!」
全然気にしなくてもいいのに、と思いながらも、私のために怒ってくれる影山くんに心を震わせていると日向くんが「あ!!」と何かに気がついた。
「そろそろ戻らなきゃウォーミングアップ始まる!!」
影山くんは思い出したように「あぁ。」と答えると、私の方を見て言った。
「送ってく」
「えっ」
「おれもおれも!!」
「お前はさっき田中さんにドリンク補充頼まれてただろ」
「あ!そうだった!!おまえは終わったのかよ!」
「さっき終わらせてきた」
「くっそー!!!!」
影山くんに言いくるめられた日向くんは悔しそうにこちらを見た。
「……っ、さん、おれのこと見ててね!」
「えっ、あ、試合がんばってね!さっきはありがとう!」
そう手を振ると、「またねー!」とこちらに手を振りながら日向くんは駆けて行った。
「………」
「………」
どうしよう。影山くんと2人きりだ。
ドキドキしながら影山くんを見ると、影山くんは「行くぞ」とだけ言って歩き出した。
「………」
「………」
周りはガヤガヤとしているのに、なんだか静かに思える。
それほどまでに影山くんは静かだった。
少し前を歩く影山くんを追いかけながら私は思った。
もしかして少し怒ってる…?
やっぱり、私なんかに急に来られて迷惑だったのかな。
沈黙を破るように、私は影山くんの横に並び言った。
「あ、あの、今日、急に来ちゃってごめんね。
迷惑だったよね…」
道案内までさせちゃったし、と続けて言うと、影山くんは不思議そうな顔をして言った。
「?なんで謝るんだよ」
「え?」
「俺は迷惑だなんて思ってない」
「それって…」
そう言うと、影山くんは言った。
「ついたぞ」
気がついたらもう出入口に着いていた。
「あ!ほんとだ!ありがとう影山くん!」
そう言って笑うと影山くんは満足そうに「おう」と答えた。