第18章 青葉城西
月は沈み、外からはチュンチュンと朝を知らせる鳥の歌声が聞こえる。
今日は6月3日日曜日。
烏野高校バレー部の応援に行く日だ。
私は昨晩用意した服を着て、少しだけ髪の毛も巻いた。
「時間やばいっ!」
ドタバタしながら準備を終わらせ、友人との待ち合わせ場所まで走る。
携帯電話には、昨日買ってもらったキーホルダーがぶら下がっている。「明日影山くんと会えますように!」とお祈りまでしてある。
「ごめん、お待たせっ!」
「やっほー!」
中学時代の友人と合流し、私達は仙台市体育館に向かうバスに揺られた。
「なんか今日の、いつも以上に可愛いね」
「え!?そ、そうかな」
そんなことを言われ照れていると、友人からまさかの言葉が出てきた。
「やっぱりも及川さんの虜になった??」
…ん?
「まさかから誘われると思わなかったよ〜!」
ま、まさか
「今日、青城と烏野の試合だもんね!」
えええええええええ!!!!
知らなかった。聞いても分からないだろうと、影山くんからも日向くんからも対戦相手を聞いていなかった。
「し、知らなかった…。」
「え?どこの試合見るつもりだったの?」
「烏野…。」
「あ、そっち?!てっきり青城の試合を応援するから私を誘ったのかと思ってたよ」
ケラケラと楽しそうに笑う友人とは反対に、少し青ざめた顔をしている私を見て友人は心配そうに言った。
「え??どうしたの??」
ああ。なんてこった。
前回のことがあってから少し及川さんが苦手だ。
『男子バレー部のマネージャーは絶対やらないでね』
『ちゃんと戦うのなんて嫌だし、しかも烏野なんてもっと嫌だ』
そう言っていた及川さんの低い声が頭をよぎった。
烏野の応援に行くなんて知られたら……。
1人ゾッとしながら「う、ううん!なんでもないよ!」と答えた私は少し憂鬱な気持ちになりながらバスに揺られていた。