第17章 応援
「か、影山くん!」
『1番後ろとか最悪だぁ…』
『おお!俺ら席近いじゃーん!』
『またお前と近くかよぉー』
席替え後でガヤガヤしている教室の中で呼んでも、私の声はかき消されてしまい届かなかった。
気が付いてくれない影山くんを、必死に呼び止めようと影山くんの腕の裾を掴んだ。
「ま、待って…!」
振り返った影山くんは、目を少し開いて「お、おぅ。」とだけ答えた。
頭の中が整理しきれていない私は、何から伝えればいいのか、何から聞けばいいのかわからずにただ影山くんの裾を握って俯いていた。
少し沈黙の時間が流れた後、影山くんは口を開いた。
「……さん?」
影山くんに呼ばれてハッとした私は顔を上げた。
影山くんは少し赤らんだ顔でこちらを見ていた。
「ご、ごめんっ!」
慌てて手を離し、何か話さなきゃと頭をめぐらせた。
「あ、あの、影山くんてバレー部だったよね?」
突然そんな確認をされた影山くんは少し戸惑いながら「おう」と答えてくれた。
「も、もしかして明日から大会…?」
「おう」
そう答えた影山くんは「それがどうした?」とでも言いたげな顔をしてこちらを見ていた。
聞きたかったことはこれだけではなかったが、緊張のあまり私の脳内は正常に機能していなかった。
何か言わなければ、と、私は頭を巡らせ
「が、がんばってね…!」
と、りんごのような顔をしながら声を振り絞った。
影山くんは少し嬉しそうに
「おう。全部勝つ。」
そう答えて体育館の方へ歩いて行った。