第16章 雨音
そんなことを言われて、私はドキリとした。
影山くんと距離ができてしまったなんて、まだあまり話したことの無い人に相談する内容ではないだろうし、私自身もあまり思い出したくなかったからだ。
なんて答えよう。
頭の中をぐるぐると巡らせ、固まっていると日向くんは言った。
「元気出ないならさ、嫌なこと忘れられるように何かに熱中してみたら?」
「熱中?」
「そうそう!何かないの??」
私が熱中していること…。たしかに足音に夢中になっていた時は気持ちが沈んでいることも忘れるくらい楽しんでいた気もする。恥ずかしいけれど。思い出したくもないくらい恥ずかしいけれど!
でもそうやってなにかに熱中して気を紛らわせることはたしかに今の私には大切なことかもしれない。
「例えば…?日向くんが熱中しているものとかある??」
「おれ?おれは部活!バレー!」
「部活かぁ!」
だからバボちゃんにあんなに興味津々だったのか…!
私は初めて日向くんと会った時の会話を思い出していた。
あれ?そういえば、バレーは背が高い人が有利な競技だと聞いたことがある。実際青葉城西の試合を見に行ったときも、レギュラーメンバーは長身の選手ばかりだったような気がする。
日向くんはあまり背は高い方では無さそうだし、たくさん苦労しているのかな…。
「そうだ!今週の土日、大会あるからさんがよかったら応援に来てよ!」
「え!行きたい!」
以前青葉城西の試合を見て、バレーを見る楽しさを知っている私は目をキラキラとさせて答えた。
「そしたらおれ、もーーっと頑張れる気がする!!」
「えっ!日向くん試合出るの!?」
1年生であり、身長も高くは無い日向くんが試合に出るなんて思ってもいなかった私は驚きの声を上げてしまった。