第16章 雨音
「わわっ!!!」
自分の足音に夢中で前を見るのが疎かになっていた私は、前に人が立っていることに気が付かなかった。
「ごごゴメン!!驚かせちゃった?!」
パッと顔を上げると、自分と同じくらいの目線にオレンジ色の頭をした、太陽のような彼が慌てた顔をして立っていた。
「日向くん!」
空とは正反対のオレンジ色の目をした日向くんは、名前覚えててくれたんだ!と嬉しそうに笑って言った。
ところで、何か用があったんだろうか。
突然目の前に立つくらいだ。きっと何か用があったんだろう。
そう思った私は日向くんに用件を問いかけた。
「どうしたの?」
日向くんは不思議そうに言った。
「1人で下向いて変な歩き方してたから…?」
「えっっ」
恥ずかしい!理由もなく変な歩き方をしてるように見えたのか。
誤解を解かなければただの変なやつに思われてしまう。
「ち、ちがうよ!これにはちゃんと訳があって!」
「訳??」
「最近雨のせいで気持ちが沈んじゃうから、足音で雨音を消そうと思って!」
そうだ。足音で雨音を消そうとしていたのだ。
日向くんの気まずそうな顔を見て気が付いた。
どちらにせよおかしな奴である。
先程までの自分の奇行を思い出して、湯気が出そうなくらいに顔を赤くしていると、日向くんから「ブフッ」と吹き出した音が聞こえた。
「さんって、変な人なんだね!
おれ、もっと真面目な人なのかと思ってた!」
心外だ!まだ2回しか話したことない人に変人扱いされるなんて!
「ひ、ひどい!」
半泣きで訴える私に日向くんは続けて言った。
「でもさ、気持ちが沈んじゃうなんて何かあったの?」