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イケメン戦国《私だけを囲うひと》

第9章 縁談



一瞬、思考が止まる。

——ほう。

自分から来るか。

これは、計算外だったな。
想像以上、と言ってよいだろう。

唇は震えているのに、離れない。

必死だな。
独占したいのだろう、俺を。
その事実が、胸の奥を強く打った。

ゆっくり、それを受け止める。
そして離れたあと、あえて言った。

「お前から誘ってきたのだ…。何をされても文句はないな?」

事実だ。
だが、あの瞬間。

仕掛けたのは俺でも…堕ちたのは、俺かもしれないと思った。
嫉妬させれば揺れると知っていた。

だが…あそこまで積極的に、無防備に飛び込んでくるとは。

予想を超えた。
胸に喜びが満ちる。
だからこそ。
その後は、徹底的に主導権を握った。

「妬いたのはお前だ」

そう言い聞かせるように。
だが本当は、俺も妬いていた。

城下で男どもが振り返るたび。
宴で視線が集まるたび。
腹の奥が、静かに熱を持つ。

だから、他の女を使った。
嫉妬を引き出すため。
そして、自分の独占欲を誤魔化すため。

あの夜、唇を奪われた瞬間。
確信した。

——葉月は、俺の罠に堕ちた。

だが同時に。

———俺も、堕ちた。

それでも、言う。

「誘ったのはお前だろう?」

なぜなら。
主導権を渡す気はないからだ。

だが…もしまた、あの目で。
嫉妬と独占を滲ませて、こちらへ来るのなら。

……今度は、理性が保てる自信はない。





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