第9章 縁談
〈家康目線〉
俺は最初から気づいていた。
宴で光秀さんが「わざとらしく」女と距離を詰めていること。
そして、あんたが柱の影から見ていることも。
「……葉月、あんた釣られてるよ」
そう呟いた、次の瞬間。
葉月が光秀の部屋へ向かうのを見て、目を見開く。
「……は?」
翌朝。
何事もなかった顔の光秀さんと、どこか艶を増したあの子。
……あの人、全部計算してたくせに。
最後の一手は、想定外だったな。
そう確信を持った。
光秀さんの目に、ほんのわずか残る余韻を見て。
「……やれやれ」
と肩をすくめる。
馬鹿らしい。放っておこ。