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イケメン戦国《私だけを囲うひと》

第8章 恋仲になりまして




「——随分と、他人行儀だな」

低く、そう言われた。

「え…?」

「昨夜は、あれほどだったというのに」

一気に顔が熱くなる。
そんな言い方、ずるい。

「……それは…。光秀さんが、何もなかったみたいにするからです」

ぴたり、と空気が止まる。
言ってしまった。
でも、もう止められない。

「昼は他人みたいで、夜だけあんな風で…。私ばっかり、振り回されてるみたいで…」

言葉にしてしまうと、
余計に苦しくなる。

「……嫌なんです。そんなの、ちゃんと恋仲って思えません」

ぽつりと、こぼれる。

何も返ってこない。
やっぱり、言い過ぎた。
そう思った、その時。

「……なるほど」

低く、落ちた声の後、ぐっと腕を引かれる。

「では、どうすればいい」

「え…?」

真っ直ぐ、見られる。
いつもより、少しだけ強い眼差し。

「お前が望む“恋仲”とは、どんなものだ」

「……もっと」

小さく、言葉を探す。

「もっと、ちゃんと…わかるようにしてほしいです」

「わかるように、か」

少しだけ、考えるような間。
「ならば」ふっと、距離が縮まる。

「こういうことだな」

「え…?」

次の瞬間。頬に、指が触れる。

「……っ!」

昼間に、こんなところで。
思わず周りを見るけれど、誰もいない。

「み、見られたら…」

「見られぬ」

平然と返される。

「…お前は、分かるようにしてほしいのだろう?」

「……っ」

何も言い返せない。
そのまま、指先がゆっくりと頬をなぞる。
夜とは違うのに。
でも、同じくらい——近い。

「これで、足りるか?」

囁くような声。
私を試すような目。

「……足りません」

気づけば、そう答えていた。
一瞬だけ、瞳が大きくなる。
「ほう」と楽しそうに、光秀さんの目が細まった。

「言うようになったな」

「だって…」

もう止まらない。
ほんの一瞬の沈黙があった。
次の瞬間、ぐっと、さらに引き寄せられる。

「これならどうだ」

「……っ」

今度は、抱き寄せられた。


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