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一作目 吉川詩音

第1章 本編


吉川詩音と宵崎奏は、朝比奈まふゆがいる、
誰もいないセカイへと、またやって来るのだった。

「まふゆちゃん…」

「まふゆ…」

「なんで…また、来たの?
一人にさせてって、言っていたよね?」

「わたしの曲を聴いてほしい、だから、会いに来た」

「僕からもお願いだ、奏ちゃんの曲を聴いてほしい」

「曲…?」

「わたしの曲じゃ、足りなかったって、
まふゆは言っていた、もう一度、作ったの、
今度こそ、ちゃんと、まふゆを救える曲を」

「必要ない」

「どうしてなんだ!?」

「まふゆ!」

「しつこい」

「まふゆ!僕たちは、まふゆちゃんを助けたい!
救いたいだけなのに!」

「そんな、バカみたいなことが通じると思っているの?
ミク、この二人を追い出して」

「…」

「ミク、聞こえないの?」

「聴いて」

「えっ?」

「この曲を…聴いて」

「ミクまで…なんなの?」

「お願い、まふゆ」

「僕からもお願い」

「…うるさい!私は一人で消えたいの!放っておいて!」

「まふゆちゃん!」

「まふゆ!」

「詩音くんは、私の事、本当は何もわかっていない癖に!」

「そんな…」

「奏なんて、もう会いたくない!」

「まふゆ…」

「勝手に入って来ないでよ!」

「わかるよ…」

「…」

「まふゆ、私たちに言ったよね?
本当は消えたいんでしょって、
そうだよ、わたしも本当は消えたくて仕方がない」

「じゃあ、詩音くんは?」

「僕は…消えたい時もあったけど…
それでも、生きないとダメなんだ。
生きて、とにかく、生きないと、
親から授かった、この命を無駄にしたくない」

「詩音くんの、ばか、
わたしの命なんて、どうでもいい癖に」

「そんな訳ないだろ!
人の命を何だと思っているんだ!?」

「人間の命なんて、所詮は軽い、
不幸になるくらいだったら、死んだ方がいい」

衝撃的な言葉に、詩音と奏は驚きを隠せなかった。
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