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一作目 吉川詩音

第1章 本編


ある日…

「失敗だったわ。
あなたに、パソコンを買い与えたのも、
楽器を使わせたのも!
知らないうちに、音楽なんか初めて、
私に隠し事をして、勉強を怠って、ネットで、
よく知らない子達や、
遂には、詩音くんに、たぶらかされて!
こんな事になるなら、何も与えるんじゃなかった!
よく聞いて頂戴。まふゆ。
あなたのことを想っているのは、
詩音くんでも、あの子達でも無い。
この私よ!お母さんなのよ!」

「…っ!」

(私を、本当に想ってる…?)

(お母さんは、本当に私のことを、想って、
こう言っているの…?)

(わからない…)

(わからない…けど…)

(わからない…わからない…?)

(でも、無理だ…)

(これ以上は…もう…っ!)

「ごめんなさい。大声を上げちゃって…
でも、まふゆは、わかってくれるでしょう?
まふゆは、本当は、いい子で優しい子だと、
お母さん、信じているから」

「…っ!」

まふゆの瞳が漆黒に染まった。
もはや、光が存在しなかった。

(…お母さん…おかあ、さん…
オカアサンって、ダレダッケ…!?)

(そうだ、でも、苦しい、辛い、痛い、疲れる、
醜い、憎い、嫌だ…ナンダロウ、コノ、カンジョウ…!?)

(ごめんなさい。私が悪い…?
でも、もう、ここには…)

(ここには…っ)

(ニゲテモ、イイ…!?)

(でも、本当にそれでいいの…?)

(私がいなくなったら、お母さんは…?)

(お母さんを置いて…?
そんなの、私には…でもっ…)

「もう一度、頑張りましょう。
お母さんも、頑張るから!ね?お願い。まふゆ」

「…っ!」

まふゆは、家を飛び出し、逃げ出した!

「まふゆ!」

まふゆは、奏の家にやって来た。

そこで、泣いていた。思いっきり…

冷たい雨の中、まふゆが走りながら、
宵崎家のドアを何度も叩き、泣き叫んでいた。
それを聞いた、奏が、走って、
まふゆを宵崎家の中へと入れ込み…

「奏、私!私、ちゃんと、伝えたの!お母さんに!
でも…でも…!」

「まふゆ…」

「どうして、ここにいるんだろう…
お母さん、すごく、怒っていて、悲しんでいて…
それなのに…全部、私が悪いのかな…?死にたいよ」

「大丈夫だよ、大丈夫…大丈夫だから…」

奏はまふゆを温かく抱きしめた。
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