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一作目 吉川詩音

第1章 本編


公園にやって来た、詩音と奏。

「この辺りに、花畑があるって、
わたしが思い込んでいるだけかもしれない。
ごめん、雨の中、付き合わせちゃって…」

「僕は大丈夫だよ」

詩音は奏と一緒に傘の中にいた。

「雨が止んだら、いい曲が思いつくと思う。
奏ちゃんも、そんなに、悩まない方がいい。
何かあったら、また、遊びに行く?」

「そうだね、その時は、お願いしようかな?
でも、今日は詩音くんのおかげで、
気分転換になったかな?」

「ホント?よかった」

「実は今日、お見舞いに行っていたんだ」

「お父さんの?」

「お父さん、倒れてから、何度も混乱するようになって、
今日は、わたしが生まれる前の話をしていたの。
その顔がすごく幸せそうで、
そんな、お父さんの笑顔を奪ったって思ったら、
すごく、苦しかった」

「奏ちゃん…」

「その時、思ったの。
わたしは早くまふゆを救える曲を作らなくちゃって。
できないなら、ここにいちゃいけないって、思っている。
だけど、詩音くんが色々な場所に連れてってくれたから、
気持ちが楽になった。ありがとう、詩音くん」

「ううん…」

(奏ちゃん…ずいぶんと、自分で攻めているみたい…
僕も彼女の力になりたい…だから、せめて…!)

「ねぇ、奏ちゃん」

「ん?」

「奏は、まだ誰も救えていないっていうけどさ、
少なくとも、僕は救われているのかもしれない」

「えっ?」

詩音は自分の悪い部分を、奏に語った。

「僕は悪い部分と向き合えているか、
不安に思ってしまうんだ…」

「そうだったんだ…」

「うん。あっ、花壇が見えてきたよ」

「あの花壇…もしかして?」

「奏ちゃん?」

「ここが、お母さんと一緒にいた、花畑」

「大きな花壇だね…」

「ありがとう…詩音くん」

「カーネーションが咲いていて、キレイ…」

「キレイだね…」

すると、奏が!

「奏ちゃん?大丈夫?」

「ごめん…」

「ここが、奏ちゃんが、大切にしている場所なんだね」

「えっ?」

「なんていうか…いつも、
奏ちゃんは、自分を責めていると感じだったから」

「うん、ありがとう、詩音くん」

「ちょっと、嬉しい」

「詩音くんがいてくれたから、
昔の思い出を素直に受け止めることが出来たと思う」

「何もしてないよ、僕は…」

二人で、カーネーションを見るのだった。
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