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一作目 吉川詩音

第1章 本編


まふゆの体調が戻り、少し経った時の話だった。
雨が降っている中、歩いていたら、奏が通りかかった。

「奏ちゃん?」

「詩音くん」

「僕が傘を貸そうか?」

「いいの?」

「うん、もちろん」

詩音は奏に傘をあげた。

「ごめんね…傘を家に忘れちゃって…」

「考えごと?」

「早く作らなくちゃ」

「え?」

「このままじゃ、まふゆに響かない。
もっと、作らないと」

「まふゆちゃん…少しずつだけど、
前を向いている気がする」

「この前の曲、聴いてもらったけどダメだったな…」

「そんなことないよ!
とりあえず、もう一回聴いてもらったらどうかな?」

「ううん、自分でも、これじゃ、ダメなの。
迷路から抜け出せれない、そんな感じ」

「なんとなく、わかりそう…」

「このままじゃ、いつまで経っても…」

奏は、だいぶ困っていた。

「外で行動していた方が、ヒントがあるかもしれない!」

「そっか、わかった」

「どこにしようかな?」

二人がやって来たのは、ドールショップだった。

「ドールショップ?」

「まふゆちゃん、人形に反応していたから、
ヒントがあるかもしれない」

「なるほど…」

オルゴールの音がした。

「キレイな音色」

「うん、本当だね、いい音」

「奏ちゃんは、オルゴールっぽい音、入れているね。
この前の曲も、奏ちゃんらしい、そう感じた」

「オルゴールの音は好き。
わたし、お父さん作った、オルゴールの音を、
よく聴いていたから、その影響かもしれない」

「素敵な曲だね、どんな曲?」

「とても、優しくて、聴いているだけど…」

「奏ちゃん?」

(もしかして、答えたくないことを、
聞いちゃったのかな…?なんてことをしたんだ…)

「…」

「あっ、えっと…ごめんね…」

「ううん、大丈夫…」

ドールショップから出て、
しばらく、歩いていたら、フラワーショップを見つけた。

「あ、カーネーション」

「奏ちゃん、カーネーションが好きなの?」

「お母さんが、好きな花だから、
白いカーネーション」

「赤のイメージが強いけど、白もキレイで美しい」

「そうだね、お母さんのお墓参りに行くとき、
白いカーネーションを持っていく」

「そうなんだ、花は癒されるから」

「花畑に行きたい」

「花畑…ここら辺にあったな…」

二人は探すのだった。
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