第9章 innocent@忍足侑士 ❦
思わず振りそうになる腰を必死で堪える。
ちゅ、ジュルッ
「ふぅっ!」
吸い上げる音で纏わりつく唇と舌に、ブルブルと震える。
「紫雨っ離してっ」
引き抜こうにも、加減を知らずに吸い付く唇の中では動けず、時折敏感な所をかすめる舌先に、脚が震える。
「なあっホンマに...ふっ...アカン、て」
抜こうとすれば、ギュッと腰に抱きついてきた紫雨に、ベッドのヘッドボードに掛けた腕に額をあてる。
「あ...ハッ」
とうとう我慢できずに、ふらふらと腰を前後に揺らす。
「ふー、ふー、」
その動きに合わせるように聞こえる紫雨の呼吸に、ぎゅう、と胸が締めつけられる。
(っアカン、出る...)
なんとか動きを止め、震えそうな手で紫雨の頭を撫でた。
「も、ええから...充分、やから」
離して、とできるだけ優しく言うと、素直に口を開いた。
「イかそうしたんやろ?」
隣に寝そべり、少し冷えた体を抱き締める。
「気持ちよくなかった?」
ごめん、と申し訳無さそうに胸元に額をつけた頭を撫でる。
「そうやない。
よぉ頑張ったな」
「最初は口に出されるものだと思ってた」
「なしてっ!?」
「雑誌によるとですね...」
年に1回、セックスについての特集があることが有名な女性誌があるのだという。
確かに、贔屓の書店で、スポーツ誌コーナーの隣で華やかに並ぶ女性誌の表紙が、よく宍戸や向日が買う少年誌のグラビア表紙なんかより何倍も「それは法的に許容されとるんか?」と疑いたくなる表紙で堂々と陳列されている女性誌があるな、と思い出す。
「あんま、その...メディアに左右されへんようにな」
きょとん、と首を傾げる紫雨を腕の中に抱き寄せ、毛布に包まる。
「あったかーい」
嬉しそうに抱きついてきた紫雨の髪に口元を埋める。
クセの無い、サラサラとした髪を撫でていると、んー、と胸元に潜り込もうとしている。
「紫雨?ちょ、寝んといてよ?」
「...ん?」
「寝そうやったやろ」
「うん」
笑って頷いた紫雨の首元でもつれ合っていたシャツとキャミソールを脱がせ、ショートパンツを脱がせると、眼の前を塞がれる。
「見えへんのやけど」
ちょっと待って、という声に、手探りで手にしていたショートパンツを畳んだ。