第9章 innocent@忍足侑士 ❦
触れ合う唇が僅かに開くと、舌先で下唇を舐められた。
「ん、」
口内に差し込まれた舌におずおずと舌を触れ合わせると、ぬるり、と絡め取られ、んぅ、と震わせた体を強く、抱き寄せられる。
ようやく離れた唇。
はあ、と息を吐いた舌先と微かに開いている侑士の唇を繋ぐ唾液の糸が、プツ、と切れた。
とん、と額を突き合わせた侑士が、フッと笑った。
「やらしい顔しとる」
「んなぁっ!」
し、してないっ!と首をフルフルと振る。
「しとる」
ちぅ、と頬に小さくキスをしながら笑った侑士。
「めっちゃかわええ」
頭を抱きかかえるようにして、何度も頬にキスをされた。
腰を抱くように回されていた手が、スリ、と腰の脇を撫で、んっ、と声が漏れる。
裾を出したままの上衣の裾から入り込んだ手が、脇腹を撫でる。
「く、くすぐったいぃ」
「んー?」
サワサワと動く侑士の指先に、んんっ!と体をよじる。
「んっふふ、くっ」
「どないしたん?」
「だからぁ!」
くすぐったいって言ってるじゃん!と両手で侑士の頬を包む。
「いじわる」
「かわええんやもん、しゃあない」
「ドS」
「そんなことないで。
別に、泣かしたいとか苦しめたいとか思わへん
ただ、気持ちよぉなっとる紫雨は見たいなぁ、て」
「そういうタイプのSじゃん」
「どっちか選べ、言われたら、Sやろなぁ」
緩いボトムの上から、ゆっくりと太腿を撫でる手に、手を重ねる。
「私、別にМじゃない」
「どうやろなぁ?
人間、どっちかやろうし...試してみよか?」
「試す?」
上体を捻るようにした侑士に押し倒され、背中全体をベッドに預けた。
「ゆ、侑士、くん?」
顔の横に手をついて、見おろすように、じぃっと見つめる視線。
「え、っと...?」
何も言わない彼に、戸惑いが生まれて視線を外す。
「Мやな」
「なんでっ!?」
「視線、そらしたやろ」
「そうなのっ!?」
「簡単な心理テストみたいなもんや。
紫雨、爪、見して」
「え?あ、うん」
緩く拳を握り、爪を見せた紫雨。
「Мやんなぁ」
「だからなんでっ!?」
それもテスト?と聞くと、内緒や、と笑って、緩い拳の中に指先を滑り込ませて手を握り、その手をベッドに押しつけるようにしてキスをした。