第1章 海賊狩りのゾロ
「オイ何だテメェ。殺されてェのか…消えな、チビ!!」
「あのね、おにぎり作ってきたの!お兄ちゃん、ずっとこのままでお腹空いてるでしょ?
私初めてだけど…一生懸命作ったから」
「腹なんか減っちゃいねェ!
そいつを持ってとっとと消えろ!!」
「だけど…」
「いらねェつったろ!!帰れ!!噛み殺すぞ、ガキ!!」
目の前に差し出された少し不格好なおにぎり。
一生懸命作ったのが伺える。
腹が減っていないということはないだろうが、野犬のようにゾロは威嚇した。
リカは少し怯んだように、表情を曇らせる。
「ロロノア・ゾロォ!!
イジメはいかんねェ。親父に言うぞ」
「「!」」
そこへ海兵二人を引き連れて黒いスーツを着た少年が姿を現す。
金髪のキノコヘアーの偉そうなその少年は海軍大佐の息子、ヘルメッポ。
派手な柄シャツや煌びやかなアクセサリーを身につけていて、いかにもボンボンのお坊ちゃんという感じだ。
「また変なのが出たな」
「だれ?」
「あれはきっと海軍のえらい人ですよ。
よかった。あの子殺されなくて…」
コビーは安堵したように言った。
しかしララは警戒を緩めない。
フードの隙間からヘルメッポを盗み見る。
「チッ、七光りのバカ息子が…」
「バカ?
こら、調子のるなよ。おれの親父はかのモーガン大佐だぞ!!」
ヘルメッポは威張り散らして、ゾロに権力をかざした。
あまり彼には効いていないようだが。
こうやっていつもモーガン大佐の息子という肩書きを振りかざしているのだろう。
「おやおや、お嬢ちゃん。美味しそうなおにぎり持って差し入れかい?」
「あ!ダメッ!」
ヘルメッポはリカに近寄り、彼女の手元にあるおにぎりを乱暴に奪った。
そしてそれを許可もなく、口にする。
リカの制止も聞かずに。