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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第1章 海賊狩りのゾロ


「あれがそうか…。
あの縄ほどけば簡単に逃がせるよな、あれじゃあ」
「ば…ばかな事言わないでくださいよ!!
あんなやつ逃したら、町だって無事じゃ済まないし、ルフィさんだって殺そうとしますよ!!」

声を荒げてコビーは言った。

磔にされているゾロに聞こえてしまう程、大きな声で。

「おい、お前」
「ん?」
「ひいぃ!?」
「ちょっとこっち来て、この縄解いてくれねェか。
もう九日間もこのままだ。流石にくたばりそうだぜ」

ゾロはニヤリ、と笑って言った。

九日間このまま、ということはずっと飲まず食わずだったのだろう。

その状態でまだ笑っていられる気力があるとは驚きだ。

「おい、あいつ笑ってるぞ」
「しゃ…しゃべった……!!」
「礼ならするぜ。その辺の賞金首ぶっ殺しててめェにくれてやる。
ウソは言わねェ。約束は守る」
「だ…ダメですよ、ルフィさん!!あんな口車に乗っちゃ!
縄を解いた途端、僕等を殺して逃げるに決まってるんですから!!」
「殺されやしねェよ。
俺は強いからね」
「あァ!?」
(こ…この人はもぉ〜〜!!)

自信過剰とも言えるルフィの発言。

コビーはその強さを知っているからこそ、呆れていた。

もう少し謙虚に出来ないのか、と。

その時。

どこからともなく塀に梯子が立てかけられた。

そして梯子に登って姿現したのはリカだった。

「ん?」
「え!?」
「しーっ」

リカの登場に目を見開くコビーだが、静かにするよう人差し指を口元に当てて合図した。

そしてこそこそ、とゾロの元へ歩いていく。

大事そうにおにぎりを抱えて。

「あ、いた…」

そこへリカを追いかけてきたララも姿を現す。

成人女性にしては小さく、身軽なその身体を軽々と跳躍して塀に乗せる。

「誰だお前?」
「ララ」
「俺はルフィ。よろしく」
「どうも…」
「あの子のお知り合いですか?」
「ううん。ちょっと心配で見にきたの」
「心配?」
「ちょっとね…」
「?」
「止めなくていいんですか?」
「……」

ララは動かなかった。

ただリカを見守っている。

ゾロの元に歩み寄るその小さな姿を。


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