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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第2章 航海士ナミ


「のせるな!!」
「?」
「十年前さながら!!
ここはただの荒地じゃった…!!そこから全てを始めたのじゃ。
〝ここに俺たちの町を作ろう〟
〝海賊にやられた古い町のことは忘れて…〟」
「!」

突然、ブードルは昔話を語り出した。

過去を懐かしむように目を細めながら。

この港町は何もない土地からブードルと数人の大人達で作り上げた町だった。

少しずつ町は発展していき、綺麗な港町へと成長していった。

その町が今、また海賊に襲われている。

悔しくて仕方ないだろう。

「…はじめはちっぽけな民家の集合でしかなかったが、少しずつ少しずつ町民は増えていった。
敷地を広げ、店を増やし、わしらは頑張った!!
そして見ろ!!そこは今や立派な港町に成長した!!」

きっとここまでくるのに沢山の苦労があったことだろう。

楽しいことと同じくらい、辛いこともあったはずだ。

しかしそれを感じさせないくらい、昔を語るブードルの表情は穏やかだった。

「今のこの町の年寄りが作った町なのじゃ!!わしらの町なのじゃ!!
町民達とこの町はわしの宝、さながら!!
己の町を守れずに何が町長か!!
わしは戦う!!」

ブードルは手に持った槍を掲げて宣言した。

気持ちだけはここにいる誰よりも、バギーを倒すという強い意志が感じられる。

意志だけでは敵は倒せないが。

その時。

「撃て!!特製バギー玉!!」

どこからともなく聞こえてきたバギーの声。

同時にドゴゴゴオォォン、と大きな音を立てて目の前の民家が砲弾によって崩れた。

また町の一棟がバギー玉によって崩壊した。

ゾロが休養しているブードルの家までも。

「………!!」
「んぬ…わしの家まで…!!」
「あ!!
ゾロが寝てんのに!!」
「………。
——シャル、平気?——」
「——ああ、無事だ——」

皆、崩壊した民家を呆然と見つめる。

ララだけは冷静にゾロの側にいるはずのシャルと連絡をとった。

彼女とシャルにしか聞こえない連絡手段で。

ステリア族に宿った風神の力を借りれば、強く念じることで互いに会話ができる。

どんなに距離が離れていようと、はっきりとした声が頭に響く。


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