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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第2章 航海士ナミ


「それより、そいつなんなの?」
「?
シャルのこと?」
「シャルってそいつ名前?」
「うん。私の友達!」

ナミは神獣化したままのシャルを物珍しそうに見つめた。

一見、猫ように見えるが明らかに図体が大きく、大きな翼を生やしている彼。

彼女には異質な姿にしか見えなかったのだろう。

友達と愛らしい笑顔で言うララがナミには不思議で仕方なかった。

イーストブルーにはどこを探してもこんな生物、どこにもいない。

グランドラインにもシャルのような存在は珍しく映る。

「だからそれがなんなのか聞いてんのよ!!」
「?
シャルはシャルだよ?」
「そうだぞ!シャルは俺の仲間だ」
「……はぁ…
……もういい」
「?」

ナミは頭を抱えてため息をついた。

これ以上何を聞いても答えは返ってこないだろう、と。

ララ自身、シャルの存在理由がよくわかっていなかった。

物心ついた時から彼はずっと彼女の側にいた。

自分を守るべき存在。

それしかララは知らない。

シャルがどこで生まれたのか、何故自分を守るのか彼女は理解していなかった。

教えてくれる者がいなかったら。

だからシャルのことを問われたところでララには説明できない。

「ところで町長さん。この犬、町長さんとこのこ?」
「いや、わしはシュシュに餌をやりに来ただけじゃ。
飼い主は別にいる」
「へぇー…シュシュっていうんだ、この子」
「こいつ、何してんだ?」

ブードルは餌皿にこんもり、入れたペットフードをシュシュに差し出す。

腹を空かせていたのだろう。

バクバク、と差し出された餌にシュシュは貪りつく。

「店番さ」
「あ!本当。よく見たらここ、お店なんだ。
ペットフード屋さんか…」
「この店の主人はワシの親友のじじいでな…。この店は十年前、そいつとシュシュが一緒に開いた店なんだ。
二人にとっては思い出がたくさん詰まった大切な店じゃ。

ワシも好きだがね」

ブードルはキセル煙草を咥えて、煙を肺に吸いながら懐かしむように語った。

どうやら町長はシュシュの飼い主ではなかったよう。

このペットフードショップの主人が本来の飼い主らしい。

だが、その本人が今ここにはいない。

なにか事情があるのだろうか。


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