第2章 航海士ナミ
「何って…
脱がないと治療できないでしょ」
「あ……
…っ!…まぎらわしいことすんな!!」
「?
いいから脱いでよ」
ララはゾロの勘違いを理解してなかった。
キョトン、と首を傾げて服を早く脱ぐよう催促する。
半端強制的にゾロは彼女に服を脱がされた。
余分な贅肉はない引き締まった逞しい身体。
ララは平然とその身体を瞳に映す。
恥じらう様子は一切ない。
育った環境のせいだろう。
むさ苦しい男達のいる環境で育った彼女は男の裸に慣れていた。
「痛い?」
「…っ……平気だ」
「すぐ済むから我慢してね」
消毒液を染み込ませた綿を傷口に優しく塗るララ。
あれだけ深く刺されたのだ。
痛くないはずがない。
しかしゾロは痛みを堪えていた。
表情を険しく歪めながら。
「……ふぅ…
とりあえず応急処置だけど、なにもしないよりはマシだと思うから…」
「ああ…悪いな」
「ただの応急処置だよ。
後でちゃんとお医者様に診てもらってね」
「寝てりゃ治る」
「……んなわけないでしょ!」
「いっ…!」
「あ…ごめん」
「はり倒すぞ、てめェ!」
ララは治療の終わったゾロの腹を軽く叩いた。
普段なら何も感じないだろうが、まだ傷の塞がっていない状態ではその軽くも刺激的な傷みを感じる。
ゾロがキレるのも無理ない。
「治療も終わったし、ルフィんとこ戻るね」
「………」
「?
…ゾロ?」
「……てめェは何者だ?」
「………」
寝室にはゾロとララの二人きり。
部屋を出て行こうとする彼女をゾロは呼び止めた。
ララは何も言わない。
ゾロは彼女の異様な強さ、手際のいい応急処置にただ者ではないと感じていた。
鋭い眼光がララに向けられている。