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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第2章 航海士ナミ


「これなんだ、犬か?本当に。
おい、こいつ全然動かねェよ」
「知るか…。
そんなもん犬の勝手だ。とにかく今はお前がその檻から出ることを考えろ」
「死んでんのかな?
うりゃっ!」
「あ、こら!」
「痛え!」

ルフィは微動だにしない犬に人差し指を突き立て、目潰しした。

行動が五歳児だ。

当然犬は怒ってルフィに噛みつく。

少し考えれば予測できただろうに。

呆れるしかない。

「なにすんだ!犬っ!!」
「ワンワン!!」
「ちょ…ルフィ…!」
「てめェ、今の事態わかってんのか!?大人しくしてろ!!」

噛みつかれたことに怒ったルフィはこの非常事態に犬と喧嘩をしだした。

ララの制止の声も聞こえていない。

こんな手のかかる船長は初めてなのだろう。

彼女は対処法がわからない、というようにオロオロしだす。

ゾロに目配せしながら。

叫んだせいで彼はまた血が流れ出た。

「くそ…血が足りねェ!!」
「犬め!」
「あんた達何やってんの。
こんな道端で寝てたらバギーに見つかっちゃうわよ!」

ドサリ、とルフィとゾロはその場に寝そべった。

そこへ呆れた顔をしたナミが三人の元に現れる。

「あ!航海士」
「「よぉ、航海士」」
「誰がよ!!
一応、お礼をしに来たの。助けてもらったからね」
「礼?」

三人は口々にナミを航海士と言う。

彼女はそれを否定しながら、鍵のようなそれをルフィの前に投げた。

間違いなく、檻の鍵だろう。

ゾロ、ララ、ルフィの顔が自然と綻ぶ。

「鍵!!檻の鍵盗ってきてくれたのか!!」
「まあね…我ながら馬鹿だったと思うわ。
他に宝も海図も何一つ盗めなかったもの。そのお陰で」
「はーーっ!!ホント、どうしようかと思ってたんだ!!この檻!!」
「…は……
これで一応、逃げた苦労が報われるな」
「なんとかなりそうだね」
「ああ」

三人は安心したような笑みを零す。

これで体制は整えられそうだ。

犬の目の前に置かれた鍵。

この時、誰が予測しただろうか。

この後起こる悲劇に。


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