第2章 航海士ナミ
「しまった!盗まれてる!!」
「何をだ!」
「あの檻の鍵がありません!!」
「なにっ!?」
おそらくナミだろう。
混乱に乗じて鍵を盗み出したよう。
どうやらルフィを檻から出すことはなんとか出来そうだ。
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バギー海賊団がルフィ達を血眼になって探している間、ルフィ、ララ、ゾロの三人は民家の屋根の上にいた。
ゾロは担いでた檻をドスン、と乱暴に屋根の上に置く。
「ぐぇっ」
「ふぅ…」
「ごめん、ゾロ」
「?
何がだ?」
「私があいつ怒らせるようなこと言ったから…」
「別にお前のせいじゃねェだろ。
どっちかつーと、このバカのせいだ」
「ん?おれ?」
「でも…」
「気にすんじゃねェ」
ゾロの腹の傷口からはまだドクドク、と血が止まらない。
それを目にしたララはまた罪悪感に苛まれ、彼に謝罪した。
叱られた子犬のように項垂れながら。
ついさっきまで凛々しくバギーと対峙していた人物とはとても思えない。
ゾロは一瞬、面食らいながらも彼女をなだめるようにララの頭に手を置いた。
「んなことより、一度やり合ったからにはケリをつけなきゃな!!」
「あ、うん。そうだね」
「くっそ!!
この檻さえ開けば!!」
ルフィはガンガン、と頑丈な檻を力任せに揺さぶる。
しかし開く気配は一切ない。
ララは屋根の上から町通りを眺めた。
自分達を探しているバギー海賊団の声が聞こえる。
しばらくは屋根の上に止まった方が安全だろう。
「ララ」
ルフィ、ゾロ、ララの三人がバギー海賊団の追っ手から逃れて屋根の上で身を潜めていると上空がら声がした。
翼を生やして彼本来の姿を現す。
一度見ているからだろうか、ゾロとルフィは驚きもせずにシャルを見上げた。
「あ、シャル。おかえりー」
「探したぞ。あまりウロチョロするな」
「あー…ごめん。ちょっとね…」
「……。
また厄介ごとに巻き込まれたようだな」
「あはは……」
シャルはゾロの脇腹から流れる血を見て悟った。
また厄介なことに首を突っ込んだのだな、と。
ララは乾いた笑いを浮べるしかない。