第2章 航海士ナミ
「逃げろ!!
ゾロ!ララ!」
「え……」
「!
何っ!?」
「……!ちょっ……せっかく助けに来てくれた仲間に逃げろって……!!
あんたはどうすんのよ!!」
「………。
了解」
ゾロとララに逃げろと指示するルフィ。
二人は一瞬、顔を見合わせて彼を見た。
笑っている。
ララは砲弾が入った砲台を一瞥した。
何か策があるのだろう。
「……いける?」
「……ああ。任せた」
「了解!
——解除」
(ダメだっ!!わけわかんないわ!だから海賊って嫌い!!
ここは自力で逃げだす方法を……!!)
ララはドーム型のヴェールに覆われたそれを解除して、バギーと対面する。
ルフィ、ゾロ、ララの思惑が交差し合うなか一人、ナミは頭を抱えていた。
常識の通じない彼等に。
「ばかたれ、逃がすか!ロロノア・ゾロ!!
バラバラ砲ーう!!」
ゾロがルフィのいる檻の方角へと逃げる。
正確には砲台のある方へだが。
しかしそれをバギーが見逃す筈もない。
短剣を持った手を能力でゾロの方へと飛ばそうとした。
「無視しないでくれる?あんたの相手は私よ!」
「!
女ァっ…!!
さっきから邪魔ばっかりしやがって!!」
ララは風剣を取り出し、ゾロに向かった短剣を防いだ。
先程から彼を守る騎士のようにバギーの攻撃を防いできた彼女にバギーは感情を露わにして睨みつける。
余裕のある涼しげな表情でララは対話した。
彼女が注意を惹きつけてくれているおかげでゾロは安心して砲台の方へと逃げることができたよう。
「てめェも悪魔の実の能力者か?さっきから妙な技、使いやがって…!」
「おあいにく様!あんたと違って海は大好きなの!」
「なにっ!?」
「ララ!よけろ!」
素早く飛んでくる何本もの短剣を全て弾き返しながらララはバギーと相変わらず対話していた。
お互い相手の力を探り合っている。
どちらも本気は出していなかった。
彼女のおかげでゾロは砲台の元に辿り着けたようで、傷を負った身体で重たい砲台の向きをルフィの方ではなく、バギー海賊団がいる方へと向けた。
点火すれば彼等は木っ端微塵となるだろう。