第2章 航海士ナミ
「なァ、親分さんよぉ!!」
「あの海図は恐れ多くも海賊、〝道化のバギー〟様の持ち物だ!!」
「あ」
スパンッとルフィに斬りかかった手下の一人。
麦わら帽子が床に落ちる。
その瞬間。
手下の顔がルフィの拳によって思いっきり殴られた。
衝撃で彼は吹っ飛んでしまう。
「俺の宝物にさわるな」
「こ…
この野朗ォーーっ!!」
残った二人は同時にルフィに斬りかかる。
しかし彼の渾身の一撃でそれは無駄に終わった。
ルフィは麦わら帽子についた砂を丁寧に払って、また自分の頭に被せる。
よほど大事なものなのだろう。
あまり怒ることのないルフィが感情を露わにした瞬間だった。
「すごいっ!
強いのね、あんた。剣相手に素手で勝っちゃうなんて!!」
「あ!
誰だ、お前!」
そこへ屋根の上に座って、コロコロ笑うナミの笑い声が聞こえた。
逃げたのではなかったようだ。
そこまで酷い人間ではないのかもしれない。
「私は海賊専門の泥棒。ナミって言うの。
私と組まない?」
「海賊専門?」
これがナミとの出会い。
のちに麦わら海賊団の航海士になる女性。
仲間になるのはまだ先の話。
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「ゾロはさ…」
「あ?」
ルフィの元へと着々と進んでいく船上。
ララは唐突に話しかけた。
こうして二人で話すのは初めてだ。
いつもルフィがいたから。
「誰かに刀、習ったの?」
「ああ。ガキん頃から道場でな」
「ふーん…
その時から三刀流?」
「いや…あの時は二刀流だった」
「そっか…」
ララはそれ以上何も聞かなかった。
何故ゾロが三刀流になったのか、と。
気にならないはずはないのだが、彼女は踏み込んでこない。
ちゃんと境界線を理解している。
「お前はどうなんだよ?」
「私?」
「刀、使えるんだろ?」
ゾロはシェルズタウンでララが沢山の海兵達を一人で斬り倒していったのを思い出していた。
誰か師がいなければ、あの強さはありえない。
彼は単純に興味があった。
その強さに。