第2章 航海士ナミ
一方その頃。
バギー海賊団が襲撃中のとある島。
そこにナミはいた。
「待てー!貴様ァーー!!」
「泥棒女ァ!!海図を返せェ!!」
「ハァ……ハァ…
やっと手に入れた!グランドラインの海図!!」
ナミは息を切らして男達から逃げ回っていた。
手には丸めた海図が握られている。
彼女はこれを盗んだが為にバギー海賊団の手下達に追われていた。
「クソ!早く取り返さねェと俺達の命も危ねェぜ!!
船長の砲弾で死ぬのもごめんだ!!」
海賊達も必死だった。
海図を取り返さねければ自分達の命も危うい、と。
船長の仕置きが怖いらしい。
「バギー船長、港の空に何か見えます!」
「大砲で撃ち落とせ」
「はい!!」
ところ変わって酒場の屋上。
上空に見えるなにかをバギー海賊団の手下の一人が視認した。
それは鳥に咥えられて空を彷徨うルフィだった。
だが、彼を助けるという優しい人間はこの町にはいない。
バギー海賊団船長、道化のバギーの命により手下はルフィ目掛けて砲弾を撃った。
ドカン、という大きな音を立てて弾は見事的中。
「なんで砲弾が飛んでくるんだ!?
くっそー…
あー、助かった!!」
「!?」
「うわっ、生きてる!!」
砂埃の中からようやくルフィの姿が視認できた。
驚いてナミ達は尻餅をつく。
傷一つついていない彼の姿に驚いている。
(………)
「!
あ…!親分っ!助けにきてくれたのね!
後は任せたわ!!」
何を思ったのかナミは可愛いらしい笑顔をルフィに向けて、そのまま何処かへ逃げていった。
彼に全て罪をなすりつけて。
懸命な判断ではある。
彼女一人で屈強な男三人を相手に出来るわけがない。
見ず知らずのルフィに責任転嫁するのはどうかとは思うが。
「おい、女が逃げたぞ!」
「追う必要はねェ!
親分がわざわざ残ってくれてる」
「なるほど…子分を庇ったってわけだな。おかげで追い回す手間が省けた」
「?」
状況が理解できていないルフィを取り囲む手下達。
ナミの口から出たでまかせを信じたようだ。
刀を握りしめ、今にも彼に斬りかかりそうな勢い。