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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第2章 航海士ナミ


「いいとも、助けてやろう。
その前にその宝物を見せてくれねェかな?」
「どうぞ…こちらへ来て好きなだけお持ち下さい。
それより…水を…!」
「まァ待て待て、娘さん!!宝の確認が先さ。
そう!なんせ俺達ゃ、あんたの命を助けるんだ!!」

男達は女性の船に飛び乗って、宝箱を取り囲む。

目の前の宝に笑みがこぼれるのを止められない。

彼女が彼等の船に飛び乗ったことなど気付きもせずに。

「よろしければその船ごと差し上げますわ!」

女性はニッコリ、と愛らしい笑顔を浮かべて言った。

先程の身体を震わせた彼女とは別人のように、元気な姿で。

おそらく演技だったのだろう。

まだ彼等はそれに気づかない。

宝に夢中で。

「は!?」
「あの女!!俺達の宝を積んだ船を!!」
「おい、この宝箱カラだぜ!!」

男達は気づくのが遅かった。

女性が乗った彼等の船はゆっくりと離れていく。

船にはどっさりと宝がある。

奪われてしまった。

そして彼女の差し出した宝箱の中身は見事に空っぽ。

見せかけだけの宝箱だったようだ。

「南の空に低い黒雲をともなう、寒冷前線を発見!!まもなく激しい雨と共にスコールが吹くでしょう。
小さな船は転覆にご注意下さいっ!!」

まるで預言者のような明確な予測。

女性のその予測通り、黒雲が男達の頭上にもくもくと現れる。

そして強く激しい雨とスコールが吹き荒れた。

「ぎゃあっーー!!」
「ビンゴ!!」

貧相なその船では耐えられるはずもなく、見事に転覆してしまった。

天候を操り海を知り尽くすその女、ナミ。

のちにルフィ達と出会う女だった。

「じゃあね!お宝はもらってくわ!」
「ち…畜生ォ!てめェ謀りやがったな!!」
「待ちやがれ、女!!」

男達の制止する声も聞かずにナミは彼等の元を去っていく。

海に溺れた三人を残して。

彼等が彼女に恨みを持つのも無理はない。


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