第2章 航海士ナミ
「——で?なんで海賊が海で溺れてたんだ」
「それだっ!!よくぞ聞いてくれやした!」
「あの女!!」
「そう、あの女が全て悪い!!」
「しかも結構可愛いんだっ!!」
「ありゃあ、俺達が商船を襲った帰りのことでした…」
と、船を漕ぎながら男は自らに起こったことを話しだした。
脳内再生しながら。
ゾロとララはその話に耳を傾ける。
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「グッシッシッシっ!!」
「こりゃあ、いい額の宝だぜ!!」
「あの小せェ商船にしちゃあ、上出来だ!!」
「バギー船長から褒美が出るかもな!!」
拠点の島に帰る道中。
男三人はバギー海賊団の海賊旗を掲げた小船で帰路をたどっていた。
商船で奪ってきた宝を物色し、ほくそ笑みながら。
褒美が貰えるのでは、と期待して。
宝箱にはこんもり、と煌びやかに輝く宝が積まれていた。
「ん?…おい、なんだあの船。
誰か倒れているぞ」
男達の視界に一隻の小船が目に止まる。
オレンジ色の髪をした一人の女性がぐったり、と倒れていた。
興味本位で彼等はその船に近づく。
それが運の尽きた時だった。
そのまま通り過ぎれば溺れずには済んだかもしれない。
「お、女じゃねェのか?」
「おい、お前!
グッシッシッシッ!どうした、死んでんのか?」
「あ…ああ…
私は夢でも見ているのかしら…こんなに広い海で…人に出会えるなんて…」
女はよろよろ、と顔を上げた。
ボブヘアーの愛らしい目鼻立ちをしているその女性は身体震わせながら人に出会えたことに感動している。
食料が尽きて飢えていたのかもしれない。
「……ど…どなたか存じませんが、水を…水を一杯いただけませんか?
…出来るなら、たったひとかけらのパンでも…
私…遭難者してしまって……!!
お金なら…差し上げます。いくらでも。
どうか…助けて…」
彼女の乗る船には豪華な装飾のしてある宝箱かあった。
中身には財宝でも入っているのだろうか。
男達の顔に笑みが浮かぶ。