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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第2章 航海士ナミ


「チッ…
遭難者か。こんな時に!!
船は止めねェ!勝手に乗り込め!!」
「な!!なにぃ!?」

船の進行方向にいる遭難者。

ゾロは優しく手助けするつもりは毛頭なかった。

船を漕いでもの凄いスピードで進んでいく。

スピードは緩まない。

このままいけば轢き殺される。

「うおっ!
どわあぁっ!!」

遭難者はなんとか、轢き殺される直前で船にしがみつく。

彼等は柄の悪そうな面構えをしている三人組の男達だった。

「へぇ!よく乗り込めたな」
「すごーい!!」
「ひきころす気か!!
ハァハァ……

なんて乱暴なやつだ…」

乗り込めなかったらそのまま見捨てる気だったのだろう。

ゾロはニヤリ、と笑みをこぼした。

ララは舞台を見ている観客のように手を叩いて歓声をあげる。

呑気な子だ。

「おい、船を止めろ。
俺達ァ、あの海賊〝道化のバギー〟様の一味のもんだ」
「あァ?」
(バギー…?どっかで聞いたような…)

溺れた遭難者は海賊だった。

懸賞金1500万ベリーの海賊の手下だったよう。

刀を取り出してゾロとララを脅してきた。

だが、二人がその脅しに怯えることはない。

「あっはっはっはーっ!!
あなたが〝海賊狩りのゾロ〟さんだとはつゆ知らずっ!失礼しましたっ!
そちらのお嬢さんもお強いようでっ!!」

バギー海賊団の手下は船を乗っ取ろうとしたようだが、それは叶わなかった。

相手が悪い。

この二人に勝てる筈がなかった。

男三人はゾロとララにボコボコに殴られるのだった。

お詫びとして彼等はゾロの代わりに船を漕いでいる。

恐怖に怯えた笑顔を貼り付けながら。

「てめェらのおかげで仲間を見失っちまった。
とにかくまっすぐ漕げ。あいつの事だ。陸でも見えりゃ、自力で降りるだろう」
「私、見てこようか?」
「平気だろ」
「そう?」
「ああ」
「じゃあいっか!ゾロといると面白いし」
「そうかよ…」

ララならシャルの背に乗って飛べばすぐ追いつけるだろう。

しかしそれはしなかった。

ここにいればまた面白いことが起こる。

そんなような気がして。

さっきから笑い上戸の彼女にゾロは呆れるしかない。


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