第1章 海賊狩りのゾロ
絶望の縁に立たされた幼いララとシャルに救いの手を差し伸べたのは、たまたま島の偵察で立ち寄った白ひげ海賊団一番隊隊長のマルコだった。
これが二人の出会い。
マルコは身寄りも行くあてもないララを拾ってくれた。
白ひげを説得してモビー・ディック号に置いてくれるよう手配してくれたのも彼だ。
返しても返しきれない恩が彼女にはあった。
白ひげにもマルコにも。
特に世話役を任されたマルコには。
厳しくもあるが、彼はとことんララに甘かった。
お転婆娘に成長した彼女はすぐに神子としての力が目覚める。
マルコや隊長達が不在の日。
何十隻もの海賊が白ひげを襲ってきた。
隊長格が不在の時を狙って。
長丁場になると思われた戦いはすぐに決着がついた。
ララの手たった一つで。
母親の形見として常に身につけていた青い宝珠のネックレス。
その力が暴発した。
一撃で数十隻もの海賊船を海に沈めてしまった。
隊長クラス、いや白ひげ以上の力だ。
その日を境にララの存在は海軍へと知れ渡った。
破滅の神子のララとして十億ベリーの懸賞金がつく。
当時十八歳。
その頃からだろうか。
ララはいつの間にか少女から女性へと変貌していった。
美しい大人の女性へと。
マルコと彼女が互いに異性として意識し始めた頃だ。
二人の気持ちが通じ合うまでそう時間は掛からなかった。
恋人同士として過ごした日々はララにとって一番幸せな時だっただろう。
その幸せは長くは続かなかったが。