第1章 海賊狩りのゾロ
「ルフィ」
「ん?なんだ?」
「とりあえず、しばらくは航海に付き合ってあげる」
「ほんとか!?」
「そのかわり、私の探しものに付き合ってもらうからね」
「探しものってなんだ?」
「……これ」
ララは首から下げていたネックレスをルフィとゾロに見せた。
海のように透き通るようなブルーの宝石をチェーンに通したネックレス。
宝石の中央には龍の絵が浮かび上がっている。
綺麗ではあるが、この宝石自体にたいした価値はない。
「きれーだなぁ」
「なんだそれは?」
「宝珠っていってね、この世界のどこかにあと三つ散らばってるの」
「集めてどうするんだ?」
「わからない…それが私のやるべきことだから」
「……」
ララの表情に翳りが差した。
少し、彼女の話をしよう。
十七年前。
ララはグランドラインに位置するアーテリア島で生まれた。
その島は風神という神様に守護された島だった。
争いを好まないステリア族。
生まれながらにして風の力を操れる。
それが彼女の正体だった。
ステリア族では数十年に一度、神子が風神によって選定される。
それが当時、僅か五歳だったララだった。
あまりにも幼い。
神子には使命がある。
この世界のどこかにある四つの宝珠を集め、ステリア族とアーテリア島を護るという大きな使命が。
五歳の少女にはあまりにも重すぎる。
ララの持つ宝珠には不思議な力があった。
水龍、火龍、雷龍、土龍、と各宝珠に力がこめられている。
世界を滅ぼす程の強大な力が。
その力を世界政府や海軍が見逃すはずもない。
彼等は神子に協力を求めた。
たった五歳の女の子に。
しかしステリア族がそれを許すはずもない。
戦いを好まない一族だったが、彼等は必死で彼女を守った。
世界政府の交渉には応じずに。
政府と一族の戦いは何度も何度も交戦された。
しかし相手は軍隊だ。
叶うはずもない。
一夜にしてステリア族は全滅した。
ララと神子の守護獣、シャルだけを残して。
身を挺して一族が守ってくれたのだ。
彼女の母親さえも命を落とした。