第1章 海賊狩りのゾロ
「さてと。私はそろそろ行くね」
「?
行くってどこにだ?」
「さぁ…?君たちとはここでお別れ」
「なんで。仲間だろ」
「いや、だから私は許可した覚えないよ。探しものがあるって言ったでしょ?」
「ああ、聞いた」
「だから無理なの」
「いやだ!!俺はお前が仲間じゃなきゃ、航海しねぇ!!」
「なっ……」
「おい、女。
諦めろ。こいつの我儘は筋金入りだぜ?」
「〜〜〜!!
何も知らないくせに。絶対私が重荷なるよ」
「ウルセェ!!ララは俺の仲間だ!!」
説得しようにも、話の通じる相手ではなかった。
エースの弟なのであまり無碍にもできない。
折れたのはララの方だった。
自分勝手で我儘な男だが、憎めない性格。
それがモンキー・D・ルフィーという男。
「そもそもどうやって行くつもりだよ?船がねェだろ」
「あ、それは…シャルいるから」
ララはそう言って彼女の膝に丸まるシャルを目配せする。
一見すると普通の黒猫にしか見えない。
しかしそれは仮の姿だった。
ララはシャルにアイコンタクトを送るとその小さな黒猫は彼女から離れる。
そして青白く、眩い光がシャルを包み込む。
「いっ!?」
「すっげェー!!巨大ネコだ!!」
眩い光の中から姿を現したのは、背中に羽根を生やした身体が数倍近く大きくなったシャルだった。
その大きな身体は翼で宙に浮いており、空を飛べるのだと容易に想像できる。
ルフィは瞳をキラキラ輝かせて、シャルを見上げていた。
うずうず、とその背中に乗りたそうに。
「だからシャルだって」
「何なんだよ、お前は」
「ララ!」
「あ?」
「さっきから私のこと女とかお前とか言ってるけど、名前ララだからね!」
「ぉ、おう…」
ララはゾロに顔を近づけて、むくれながら言った。
彼女の綺麗な目鼻立ちがゾロの瞳に映る。
彼の頬がほんのり赤く染まっているのにララは気づかない。