第1章 海賊狩りのゾロ
「たいしたサル芝居だったな。あれじゃバレてもおかしくねェぞ」
「私、わかんなかったけど…」
「鈍いな」
「むっ……」
三人は町の港にきていた。
周りに人はいない。
ゾロはルフィの思惑にすぐ気づいてたが、ララはそうではなかったようだ。
鈍い、というその言葉に彼女は少しむくれる。
「あとはコビーが何とかするさ、絶対!!」
「何にしてもいい船出だ。みんなに嫌われてちゃ、後引かなくて海賊らしい」
「だははは、そうだな!」
「ル!ル!
ルフィさんっ!!!」
碇をあげて出航の準備をしていると、コビーが息を切らしてやってきた。
三人は振り向いて、彼を瞳に映す。
「コビー」
「ありがとうございました!!この御恩は一生忘れません!!!」
コビーはビシッと敬礼をして、三人に敬意を示した。
ララは面食らったように目をぱちくりさせる。
「シッシッシ!
また逢おうな、コビー!!」
「全員敬礼!!」
「え?」
ルフィ達はコビーに見送られ、出航した。
その時。
どこからともなく湧いてきた海兵たちがコビーの背後に整列している。
あろうことか、敬礼をして。
海兵にあるまじき行為だ。
「いい友達をもったな」
「!
はいっ!」
「我々の今の敬礼は海軍法の規律を犯すものである。よって全員、一週間メシ抜きだ!!!」
「はっ!」
厳しくもあり、優しい上官のようだ。
彼の元でならコビーもやっていけるだろう。
きっとコビーは強くなる。
強い信念が彼にはあった。
立派な海兵になるという大きな目標が。
「くーっ!行くかァ!
グランドライン!!」
ルフィは身体を大きく伸ばしてこの先に待つ新たな冒険、新たな出会いに期待を膨らませていた。
一人目の仲間に海賊狩りのゾロを引き連れて。
ララを仲間に引き込む事はルフィにできるだろうか?
彼女の意思は固い。