第1章 海賊狩りのゾロ
「いいってあなた達まで!?」
「?
別にお前は行かねェだろ……?」
「ちょっと、ゾロ!!言い方!!」
「?
なんだよ?」
「い…いか…行かないけど!!心配なんですよ!!いけませんか!?
あなた達のこと心配しちゃいけませんか!!」
「いや…それは…」
「バカ…」
「ゎ、悪い…」
無神経なゾロの言い方にララは少し強めに注意した。
コビーとはこの町でお別れだ。
寂しさもあり、心配なのだろう。
彼女はそれがわかっいた。
だからゾロの発言は無神経すぎだ、と。
「ルフィさん!僕らは…!付き合いは短いけど、友達ですよね!!」
「ああ。別れちゃうけどな。ずっと友達だ!!」
(…いいなぁ……)
ララはルフィとコビーに芽生えた友情を羨ましそうに眺めた。
彼女には友達と呼べる友人がいなかった。
ララは五歳の頃にある事故、いや事件によって白ひげに助けられて拾われた。
よって周りは歳の離れたむさ苦しい男ばかりだった。
可愛がってはくれていたが、友達とはいえない。
彼女にとって白ひげ海賊団は家族だった。
だからルフィとコビーのような歳の近い、友人関係が羨ましかったのだろう。
船を降りた今の自分には、家族も友人もいないと思い知らされたようで。
「……僕は小さい頃からろくに友達なんかいなくて。ましてや、僕の為に戦ってくれる人なんて。
何より!僕が戦おうとしなかったから…!!
だけどあなた達三人には……!自分の信念に生きることを教わりました!!」
(……信念…あるのかな…?私に……)
使命はあってもララは自分に信念があるのかはわからなかった。
確かにルフィとゾロには確かに強い信念がある。
それは感じた。
まるで白ひげ海賊団の家族たちのように。
彼女にもいつか出来るのだろうか?
彼等のような強い信念が。
それはわからない。
「だから俺はグランドラインに行くんだよ」
「まあ、そうなるな」
「あ、そっか!
いや、違いますよ!!だから僕は今行くことが、無謀だって…」
「それよりお前は大丈夫なのかよ?」
「え?」
話題を変えてゾロは刀の柄をコビーにコツン、と軽くあてて問いかけた。
人の心配ばかりしていて、自分の事は何も考えていなかったのだろう。
コビーは目をぱちくりさせる。