第1章 海賊狩りのゾロ
「ピストル!!」
「!?オヤジ、早くそいつを…
——ぶほっ!!」
ルフィの腕を伸ばして放った拳が見事にヘルメッポの顔面にクリーンヒットした。
力のない彼は吹っ飛んでしまう。
ルフィの背後に立つモーガン大佐は一向に動かない。
固まっているようにも見える。
「ナイス。
ゾロ」
ルフィは振り向かずにそう言った。
その瞬間、モーガン大佐は身体から血を流して倒れる。
代わりにゾロが刀を構えて立っていた。
彼が斬ったのだろう。
誰が見てもわかる。
一目瞭然だった。
「お安い御用だ。
船長」
「おぉ!すごーい!
息ぴったり」
呑気なララの声がその場に響く。
二人とも気を失っていて、起き上がる気配はない。
「た…大佐が負けた…!!モーガン大佐が倒れた!!」
「まだ俺達を捕らえてェ奴ァ名乗り出ろ!」
「私が相手になるよ?」
「………!」
海兵達は互いの顔を見合う。
そんな気力のある者は恐らくいないだろう。
そもそも彼等はモーガン親子に支配されていたのだ。
今、ゾロ達を捕まえる理由はない。
「やったァー!!」
「解放されたー!!」
「モーガンの支配が終わったァ!!」
「海軍バンザーイ!!」
海兵たちは武器を捨て、両手をあげて喜んだ。
モーガン大佐ではなく、モーガンと。
長かったモーガン大佐の支配が今、終わった。
この町はこれから生まれ変わるだろう。
「なんだァ?
大佐やられて喜んでやんの」
「……みんな、モーガンが恐かっただけなんだ…!!」
コビーは嬉しそうに笑みを浮かべた。
彼の海兵の夢はまだ希望の光があるようだ。
ララも気が抜けて笑みを零す。
その時。
彼女の身体に重い何かがのしかかった。
「え……
ゾロ…!?」
「ゾロさん!?」
「ん?
どうした?」
ゾロがララの小さな身体に寄りかかっている。
いや、倒れ込んでいると言った方が正しいかもしれない。
限界が来たのだろう。
数日間、飲まず食わずの状態のまま戦ったのだ。
倒れない方がおかしい。
ララはルフィにゾロを託す。
体格差のある彼女では彼を運ぶことができない。
ルフィ、ゾロ、コビー、ララの四人は町に帰っていく。
長い戦いが今終わった。