第1章 海賊狩りのゾロ
「オォォオオ!!」
「俺に逆らう奴は全員死刑だ!!」
「………!!」
ガキンッ!!
剣と剣がぶつかり合う音が聞こえた。
両手に二本の刀、口にもう一本の刀の柄を咥えたゾロが海兵達の剣を一人で受け止める。
彼に傷は一つもついていない。
片手が自由になったその手で身体に括りつけられた縄を全て刀で切ったのだろう。
ララ程ではないが、中々の早業だ。
「ロ…ロロノア・ゾロ…!!」
「おーっ!!かっこいいっ!!
「あ…間に合ったんだ」
「………!!」
「てめェらじっとしてろ。動くと斬るぜ」
「ひぃっ……!!」
(恐すぎる…!!)
ゾロは束になって斬りかかっている海兵達に凄んで言った。
その迫力に彼等は冷や汗を流し、身体を強張らせて固まってしまう。
それでも海兵か、と疑うレベルに。
「海賊にはなってやるよ…約束だ!!!海軍と一戦やるからには俺もはれて悪党ってわけだ…だが、いいか!!俺には野望がある!!
世界一の剣豪になることだ!!こうなったらもう名前の浄不浄も言ってられねェ!!悪名だろうが何だろうが、俺の名を世界中に轟かせてやる!!
誘ったのはてめェだ!!野望を断念する様なことがあったらその時は腹切って俺に詫びろ!!」
ゾロは海兵達の剣を受け止めながら目の前に立つルフィに言った。
口に剣の柄を咥えたままで。
ララはそれを風剣を解除しながら聞いていた。
彼の三刀流を物珍しそうに。
グランドラインにも他刀流はいたが、せいぜい二刀流止まりだ。
三刀流は初めて目にした。
彼女はじっとゾロの姿を見つめる。
「いいねぇ、世界一の剣豪!!海賊王の仲間ならそれくらいなって貰わないとないと俺が困る!!」
「ケッ、言うね」
「何ボサっとしてやがる!!
とっととそいつらを始末しろ!!」
「しゃがめ、ゾロ!!
ゴムゴムの…」
ルフィはモーガン大佐にはっぱをかけられ、ビクビクしながら攻撃をゾロにしかけようとする海兵に気づいた。
何か技をしかけようとしている。
身体を振りかぶっている姿がララの視界にも映った。
ゾロは素直に腰を落として、しゃがむ。