第1章 海賊狩りのゾロ
「んなっはっはっはっ!!!」
「な…なんだあの男は!?」
「てめェ…!!一体、何者なんだ!!!」
「俺は海賊王になる男だ!!」
ルフィはゾロの問いかけに白い歯をにぃっと見せて不敵な笑みを見せる。
ゾロの何者、とはそういう意味で言ったわけではない。
海賊王。
その称号を得た男はこの世にただ一人。
ゴールド・ロジャー。
数十年前、処刑された男だった。
彼はそれになると言う。
その意味をルフィは深く理解していないようだが。
「ほら!!お前の宝物、どれだ?
わかんねェから三本持ってきた!」
ルフィは背中に背負っていた三本の刀をゾロの目の前に差し出した。
全て柄の違う刀。
このうちのどれかが、彼の刀なのだろうか。
「三本とも俺のさ…俺は三刀流なんでね」
「ここで俺たちと一緒に海軍と戦えば、政府に楯突く悪党だ。
このまま死ぬのとどっちがいい?」
ズラリ、と並ぶ海兵達。
縄を解いても彼等を避けて逃げることは不可能だ。
生きるか死ぬか、二つに一つ。
「てめェは悪魔の息子かよ…
まぁいい…ここでくたばるくらいなら、なってやろうじゃねぇか。海賊に!!!」
ゾロは不敵な笑みを浮かべる。
これがルフィの仲間になった瞬間だった。
彼の存在がルフィにとって大きな存在となるのはまだ先の話。
「やったァ!!仲間になってくれんのかよ!!」
「わかったらさっさとこの縄を解け!!」
「あいつ…!!何だ…!!
銃弾を弾き返しやがった…!!」
海兵はルフィのゴムのように伸びた彼の身体にどよめく。
こんな身体をしている人間はこの世でルフィしかいない。
この世界のどこかにあるといわれている海の秘宝、悪魔の実。
その実を食べた者は特異な体質を引き換えにカナヅチになってしまうという。
グランドラインでは珍しくもないが、イーストブルーではあまり見かけないらしい。
海兵もモーガン大佐も驚いている。
「ありゃ、ただの人間じゃねぇぞ…あのガキ!!
噂に聞く『悪魔の実シリーズ』の何かを食いやがったに違いねェ」
「…あの海の秘宝を!?」
「まさか…じゃあ今の能力は悪魔の…!!」
ルフィが能力者と知ると、海兵はまたどよめく。
恐怖の色を表情に浮かべている。