第1章 海賊狩りのゾロ
「…基地に乗り込む気かよ。バカか、あいつは!!
…… ……お前ェは行かねェのか?」
「私はそこまで馬鹿じゃないよ」
クスリ、とララは笑ってゾロに近づいた。
そして磔にされている縄を解き始める。
固く結ばれたそれを。
「…おい」
「ん?」
「何する気だ」
「何って…縄解かなきゃ」
「殺されるぞ。俺に手を貸せば」
「おあいにく様。私、そこまで弱くないよ。
いざとなれば皆んな薙ぎ倒していけるから安心して」
ララの背丈は156cm。
小柄で線も細い。
ゾロの目からはか弱い女性にしか見えないのだろう。
疑わしい視線をララに向ける。
「あれ、ララさん…?
ルフィさんは…」
ララがゾロの身体に括りつけられた縄を解いていると、そこへコビーがやってきた。
この場にルフィがいないことに首を傾げる。
「基地に行っちゃったよ。ゾロの刀取り返すって」
「えぇ!?一人で!?
なんて無茶苦茶な事を…!」
「まあ、大丈夫でしょ。
それよりコビー、この縄解いて。固いんだ…」
中々解けない縄にララはコビーにバトンタッチした。
ここに来たということは彼も腹を括ったのだろう。
ただ事じゃ済まされない、と覚悟を決めて。
その決意がララには伝わってきた。
口には出さなくとも、ここにいるということはそういうことだ。
「…おい、お前まで手を出すんじゃねぇ!殺されるぞ」
「あなたに捕まる理由はない筈です。僕はこんな海兵みてられない!
僕はきっと正しい海兵になるんです!!ルフィさんが海賊王になるように!!!」
「何!?
か…海賊王だと…!?意味わかって言ってんのか」
「えへへへ…僕も驚きましたけど、だけど本気なんです。彼はそういう人です!!」
「!
コビー!しゃがんで!」
二人の会話を聞いてたララだったが、何かに気づいてコビーの前に立ちはだかる。
そして、パンッと銃声が聞こえた。
しかしコビーにその銃弾が当たることはなかった。
もちろん、ララにもゾロにも。
放たれた弾が彼女の足元に転がるだけ。