第1章 海賊狩りのゾロ
その頃、磔場では…
「よっ!」
「また来たのか…
海賊の勧誘なら断った筈だぜ…!」
「俺はルフィ!縄解いてやるから仲間になってくれ!」
「話聞いてんのか、てめェ!!」
ルフィは宣言した通り、磔にされたままのゾロを海賊へ勧誘した。
一方通行の会話が繰り広げられる。
ララは可笑しそうにクスクス、笑ってその会話を聞いていた。
見ている分には面白い。
自分にされると話は別だが。
「俺にはやりてェ事があると言っただろう。誰が好んで海賊なんて外道になるか」
(外道……)
世間一般からしたら海賊は外道だ。
それは間違いない。
だが、海賊に育てられたララにとっては逆だった。
環境が違うせいだろう。
「別にいいじゃんか。お前元々、悪い賞金稼ぎって言われてんだから」
「世間でどう言われてるか知らねェが、俺は俺の信念に後悔するような事は何一つしちゃいねェ!これからもだ!
だから海賊にもならねェ!」
「………。
知るかっ!俺はお前を仲間にするって決めた!」
「勝手なこと言ってんじゃねェ!!」
やはり、そう簡単に諦める男ではなかった。
ララの時と同じだ。
エースの言っていた手のかかる、という意味が彼女は少しわかった気がする。
要するにまだ子供なのだ。
身体だけは成長しているが、心はまだまだだ。
「お前、刀使えるんだってな!」
「!
………フン。ああ…何かに身体を括りつけられてなきゃ一応な」
「刀は?」
「取られたよ、バカ息子に。
命の次に大切な俺の宝だ…!」
「へー!!宝物か。そりゃ一大事だな!!
よし!あのバカ息子から俺が刀を奪ってきてやる!!」
「なに!?」
「そして俺から刀を返して欲しけりゃ仲間になれ」
「うわぁ……」
「タチ悪ィぞ、てめェ!!」
無理矢理にでも仲間にする気だ。
笑顔を浮かべながらルフィは交換条件をゾロに提案してきた。
彼が拒否出来ない条件だが。
ララは思わず、声をもらして同情した。
「よし、行ってくる!」
「お…おい、待て!!」
ゾロの制止も聞かずに磔場を出ていくルフィ。
基地へ行くつもりなのだろう。
自由な男だ。
ララは彼にはついて行かず、その場に留まった。
騒ぎになることを恐れて。