第1章 海賊狩りのゾロ
「さあ、ゾロのとこに行こう!」
「ちょ、ちょっと…!
まだ話は…!」
ルフィは一人で納得して先へ進もうとする。
ララの制止も聞かずに。
なんて身勝手な男なんだろう。
呆れるしかない。
****
海軍基地本館。
執務室のデスクに一人の男が座っていた。
葉巻をふかしながら、窓の外の景色を眺めている。
「おれは偉い」
「はっ!
なにしろ大佐ですから。モーガン大佐」
「その割には近頃町民共の〝貢ぎ〟少ねェんじねェか?」
この男が海軍大佐であり、この町の権力者であるモーガンだった。
別名斧手のモーガン。
左腕を斧に改造し、下顎を鉄に覆われた男。
彼は住民達から貢ぎ、と称して金銭を要求していた。
権力を振りかざし、脅したのだろう。
海軍の名を被った海賊のようだ。
タチが悪い。
「はっ!その…
大佐への納金に関しましてはなにぶん、町人達の懐にも限界がありまして…」
「懐は問題じゃねェ…要は俺への敬服度だ!!」
海兵の表情は強張り、冷や汗を垂れ流している。
よほどモーガン大佐が怖いのだろう。
誰も逆らう者はいない。
独裁者のよう。
「親父っ!!」
そこへ執務室を激しい音を立て、開けたヘルメッポが姿を現す。
殴られた頬をハンカチで抑え、鼻血を垂らしたままで。
ルフィとララに殴られたことを言うつもりなのだろう。
「どうした、ヘルメッポ。騒々しいぞ」
「ぶっ殺してほしい奴等がいるんだよ!!」
鼻息が荒く、興奮している様子。
こうやって自分に楯突く者は父親に助けを求めてきたのだろう。
今回は相手が悪かったかもしれないが。
船は降りてしまったが、白ひげ海賊団一番隊副隊長のララいる。
弱い筈がない。
ただでは済まされないだろう。