第1章 海賊狩りのゾロ
「ああぁぁああぁ!!
やっぱりただじゃ済みそうにありませんよ!!例の大佐が怒って、下手すれば海軍が動く恐れも…」
「たかが町の大佐にそんな権限ないよ」
「まあ、そん時はそん時だ!俺、ゾロに会ってくる」
「あ、私も!」
コビーが頭を抱えて焦り出しているが、当の二人は平然としている。
肝っ玉があるというよりは、何も考えていないのだろう。
ルフィとララはコビーを一人取り残して、再び磔場へと向かった。
「シャルごめんね?結局、首突っ込んじゃって…」
「もう慣れた」
「!?
喋った…!ネコが喋った!」
「あ……。
(やばっ…)」
磔場までの道中、ララはシャルに話しかけた。
フードを被っていないので肩に乗るシャルの姿が丸見えということに気づかずに。
当然、ルフィは大きく目を見開いてシャルを見つめる。
キラキラと瞳を輝かせて。
まるで新しいおもちゃを与えられた子供のようだ。
なるべく人前ではシャルと会話をしないようにしていたのだが、気が緩んでしまったのかもしれない。
エースの弟という存在に。
「ララ、お前喋るネコ飼ってんのか!?」
「ネコじゃなくて、シャル。
一緒に旅してる仲間だよ」
「そうか!じゃあ俺とも仲間になってくれ!」
「え……」
あまり深くは語らず、一緒に旅する仲間とだけララは言った。
この町限りの関係に全てを語る必要はない。
そう思っていた。
が、ルフィはララを海賊の仲間に勧誘してきた。
眩しい太陽のような笑顔で。
「無理」
「えー、なんでだよー!」
「探しものがあるの」
「探しもの?」
「うん。大事なものなの。
だから一緒に海賊は出来ないの。ごめ…」
「いやだ!」
「え……?
な、なにが?」
「俺はお前を仲間にするって決めた!だからララが断ることを俺は断る!」
「なっ…」
なんという無茶苦茶な言い分。
ララの意見は完璧無視だ。
こんな勧誘は生まれて初めてだった。