第1章 海賊狩りのゾロ
「おい!一ヵ月の約束はどうしたんだ!!」
「なにィ?誰だ貴様。どこで聞いた?頭が高ェな。
そんな約束ギャグに決まってんだろっ!!それを本気にする奴もまた魔獣的にバカだけどな。
ひぇっひぇ〜〜」
「「!」」
ルフィとララはヘルメッポのその言葉に大きく目を見開いた。
そして言葉より先に二人は彼の顔を思いっきり、手加減なしで殴った。
その衝動でララの被っていたフードがはらり、と落ちる。
美しい彼女の容姿が露わになった。
太陽の光を浴びて輝く銀髪、大きくぱっちりと見開いたエメラルドグリーンの瞳、長い睫毛。
その全て神々しく美しかった。
コビーやリカはほんのり頬を赤く染め、見惚れる。
まるで時が止まったかのように。
ルフィ以外は。
「……はっ…!
ル、ルフィさん!ララさん!やめて下さい!落ち着いて」
「こいつクズだ!」
二人に殴られたヘルメッポは鼻血を垂らしてその場に倒れ込む。
住民たちが声を上げて騒ぎだした。
しかしルフィとララは気にした様子もない。
「二人とも海軍を敵に回す気ですか!!!」
「決めたぞ、コビー!ララ!」
「え?」
「?」
「俺はゾロを仲間に引き込む!!」
ルフィのその言葉がララの耳にもよく聞こえた。
ロロノア・ゾロを海賊の仲間に引き入れる。
彼はそう断言した。
「や…やりやがった…!!あいつ誰だ!!」
「大佐の息子を殴りやがった!!モーガン大佐が黙ってないぞ!!」」
「ルフィさん!!ララさん!堪えて下さい!仮にも相手は海軍です!」
「知るか!!何やってもクズはクズだ!!」
「海軍なんか怖くない!殺せるもんなら殺してみなさいよ!
ゾロは絶対私が守る!」
面倒ごとに首を突っ込むな、とシャルにキツく言われていたはずだが、ララはそれを無視してそう断言した。
たいて会話もしてない赤の他人を守る、と。
初めて言った言葉だった。
いつも守られてばかりのララが感情を露わにした瞬間だった。
それほどヘルメッポの言動が許せなかったのだろう。