第14章 長期任務
そして悟さんからチラリと聞いていた長期任務に行く日になった。長期といっても1週間。
春休みだから授業を受けずに徹底的に呪霊を祓いまくる合宿のようなものらしい。今回は歌姫さんもついてきてくれる。
出発の日、
傑「何かあったら連絡するんだよ?何もなくても連絡して?」
私の両手を握って伝えてくれる。
何もなくてもって?
『メールはもちろん、毎日電話しましょうね!』
傑さんの胸に抱きつき、安心する香りを目一杯吸い込んだ。
そんなことしたら、余計に会いたくなっちゃうかな?
悟「歌姫がついていったところで、風海のこと守れんの?センセー!やっぱ俺に行かせてよ」
傑さんと抱き合っている背中側から悟さんがサンドイッチしてくる。大好きな人たちに挟まれて、しばらくお別れなのに少し嬉しい。
傑「…心配が尽きないね」
私だって一緒にいたいよ…
夜「何かあれば連絡は入るから大丈夫だ。お前たちは特殊だったからやらなかったが、1年の恒例行事だ。
1年生、しっかりやってこい!」
補助監督さんに東京駅まで送ってもらい、新幹線で向かうことになっている。1週間分の大きな荷物を持って移動していると、荷物を
持ってくれるという方がたくさん声をかけてくれた。知らない人に荷物を持ってもらうなんて、そんな危険なことするわけないのに。
見かねた七海くんが荷物を持ってくれると申し出てくれたが、隣にぴったりと付いて歩いてくれることで解決となった。
新幹線ではみんなで駅弁を食べたり、トランプをして盛り上がった。お絵描きしりとりをしたが、灰原くんの絵が芸術的過ぎて分からなくて、次に回ってくる歌姫さんが苦戦していた。
新幹線から電車に乗り換え、田舎の風景を横目に揺れが気持ちよくて瞼が閉じそう。多分もうすぐ着くはずだから起きてないと…
駅に到着して、さらにタクシーで移動する。
宿舎に着いたのは、もうすでに暗くなる時間だった。
寂れた旅館だが温泉もあるとのことでちょっぴり楽しみができた。傑さんと悟さんにメールをして、すぐに歌姫さんと入りに行こうと思ったら、傑さんから電話がきた。