第13章 春
優しく身体を揺すられ、大好きな声が聞こえる。
傑「風海…起きて?そろそろ支度しないと遅刻するよ?」
『うぅ〜もう少し…』
と言いながら目を開けないまま、大好きな人の香りに誘われてくっつきに行く。傑さんに抱きつき、胸にすりすりと顔を擦り付ける。
傑「可愛いな、まったく…身体は大丈夫かい?昨日は…悪かったね。可愛すぎて、嬉しいことがあったから、つい…」
そう言えば…
私、途中で意識なくなってしまったんだ!
慌てて起き上がり、時間を確認する。
『…!!』
腰が…重たい…
そんなに無理な体位でしてないのに、全身筋肉痛みたいな…
傑「…無理そうだね笑 授業はどうする?抱えて行こうか?」
『授業は出ます。歩けます…たぶん…』
結局、心配性の傑さんが教室まで送ってくれた。腕を組んで歩くなんて、大人の恋人同士みたいで恥ずかしかったけど、嬉しかった。
教室に着くと
灰「あっ!夏油さん!」
と、すかさず反応した灰原くん。私もいまーす!
七海くんは眉間に皺を寄せて、本を読んでいた。
傑「やぁおはよう。風海が少々疲れ気味だから、様子を見ておいてくれるかい?
頼んだよ?灰原、七海。」
灰「はい!任せてください!!」
と元気に返事をした灰原くん。
もう少し一緒にいたかったなぁ…
そう思っても、容赦なく授業は始まるわけで…
ふとグラウンドに目をやると、2年生が体術訓練をしていた。
立ってるだけでかっこいいんだよなぁ…
こちらに気がついて、手を上げてくれる傑さん。
私も小さく手を振ると、悟さんはぶんぶんと大きく手を振ってくれた。
授業後、夜蛾先生から呼び出しがあり、事務室へ向かう。
夜「部屋の用意ができたんだが…本当に3人でいいのか?」
『いいんです。傑さんが両親に挨拶してくれたので…』
私が頬を赤らめて話したものだから、先生も困っているみたい。
夜「納得しているならいいんだ。部屋に案内するが。荷物は自分で運べるな?」
そう言って新しいお部屋に向かった。
ドアを開けると、2部屋を繋げたような作りになっていた。
夜「急だったからな、部屋をぶち抜くしか方法がなかった。あとは自由にしてくれ。」
そう言って夜蛾先生は帰って行った。
よし!お引越し頑張るぞ!